不定期記事「探索者」

（注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません）

（注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます（例、113系、211系、209系）。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください）

＜211系で115系を置き換え＞

京葉線の車両置き換えに伴う、115系・107系の置き換え予測（当サイト「探索者」中記事）

以前の記事で、115系、107系を211系で置き換える計画を予想してみた。

JR『房総各線』の車両置き換え予想・第10版（当サイト「探索者」中記事）

上記記事に紹介したが、幕張211系が一部、長野総合に転属することが確定した。また、京葉205系が日光線・東北本線（宇都宮－黒磯）に転属することも分かった。

211系転属の記録（「4号車の5号車寄り」中記事）

211系の転属については上サイトで情報が整理されていくだろう。

２０１２年国電総研スペシャル

また、国電総研のサイトでも、211系、205系の転属についての情報がある。

＜211系、205系、115系、107系の車両数＞

まず、115系、107系の車両数をまとめてみる。

表1・115系および107系の車両数と在籍地

車両所属	車両形式	編成構成	編成本数
長野総合	115系	6連	14本
長野総合	115系	3連	28本
長野総合	115系	2連	7本
新潟	115系	4連	14本
新潟	115系	3連	32本
新潟	115系	2連	18本
高崎	115系	4連	11本
高崎	115系	3連	11本
高崎	107系	2連	19本
小山	107系	2連	8本
豊田	115系	6連	1本
豊田	115系	3連	12本

--------------------表1・参考資料--------------------

長野総合車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

新潟車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

高崎車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

小山車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

豊田車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

--------------------表1・参考資料・終--------------------

次に、転用候補となる211系、205系の車両数をまとめてみる。

表2・211系および205系の車両数と在籍地

車両所属	車両形式	編成構成	編成本数
田町	211系	10連	14本
田町	211系	5連	14本
幕張	211系	5連	14本
高崎	211系	10連	17本
高崎	211系	5連	25本
川越	205系	10連	32本
鎌倉	205系	8連	28本
中原	205系	6連	31本

--------------------表2・参考資料--------------------

田町車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

幕張車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

高崎車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

川越車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

鎌倉車両センター編成表（「知識の倉別館」中記事）

中原電車区編成表（「知識の倉別館」中記事）

--------------------表2・参考資料・終--------------------

＜211系を最大限に活用する＞

211系転属の記録（「4号車の5号車寄り」中記事）

上サイトに情報がまとまっているが、211系は編成を短縮の上、各地に疎開している。サハ、サロを廃車し、クハ、モハ、クモハを転用するのが基本方針となっているようだ。疎開は今後も続くのだが、疎開完了後の編成の様子を私なりに予想し、以下の表にまとめてみた。

表3・211系の編成短縮

車両所属	車両形式	編成構成	編成本数
田町	211系	10連→6連	14本
田町	211系	5連→4連	14本
幕張	211系	5連→3連	14本
高崎	211系	10連、5連→3連	59本

表1および表3を対照すると、過不足なく211系を転用できるパターンが見えてくる。これも私なりに予想し、以下の表にまとめた。

表4・211系による115系の置き換え予想

廃車予定車両	転入予定車両
長野総合・115系・6連・14本	田町・211系・6連・14本
長野総合・115系・3連・28本	幕張・211系・3連・14本高崎・211系・3連・13本（※1）
長野総合・115系・2連・7本松本・123系・1両・1本（※2）	（？1）
新潟・115系・4連・14本	田町・211系・4連・14本
新潟・115系・3連・32本	高崎・211系・3連・32本
新潟・115系・2連・18本	（？1）
高崎・115系・4連・11本	（？2）
高崎・115系・3連・11本	（？2）
高崎・107系・2連・19本	（？2）
小山・107系・2連・8本	京葉・205系・4連・12本（※3）
豊田・115系・6連・1本豊田・115系・3連・12本	高崎・211系・3連・14本

（※1、2014年度に北陸新幹線が開業し、並行在来線である信越本線の長野－直江津間が経営分離される。このため、長野総合の運用数は減り、車両数も少なくなる見込み。当予想ではひとまず3連が1本減とした）

（※2、123系は中央本線辰野－塩尻間で終日運転される。検査等で運用につけない場合、115系が代走する。そのため、123系と115系の置き換え後の車両は共通にするのが自然だろう）

（※3、日光線に充当される小山107系は京葉205系によって置き換えられる。繰り返しとなるが、拙稿「JR『房総各線』の車両置き換え予想・第10版（当サイト「探索者」中記事）」に詳しい。なお、205系は東北本線（宇都宮－黒磯）に充当される高崎211系も置き換える予定。日光線用に4連4本、東北本線用に4連8本を投入する計画なので、日光線が4運用、東北本線が7運用程度あると思われる（2種の車両は予備車を共通とする予定）。東北本線の運用は「髙タカ211系・E233系運用まとめ（「湘南新宿ラインと東北縦貫線のページ(仮)」中記事）」で確認できる（A65-A71の7運用が該当する）。日光線の運用は情報を得られなかった）

表4のようにすると、転用予定車両である211系のクハ、モハ、クモハが全て利用でき、先頭車化改造のような車体の改造も要しない（3連を2連に改造する場合、運転台をクハからモハへ移植するため、クハが1両廃車となりうる。211系3連の利用率を最大限に高めるため、私の予想では211系2連を想定していない）。しかし、それでもなお置き換えできない車両が多数残る。表中では「（？1）および（？2）」で示した。

＜115系2連を置き換える（？1）を予想＞

115系2連を置き換える（？1）は何か。私は「211系のサハ」ではないかと考える。現在、115系2連は3連、4連と連結しての運用があるようだ。そのため、置き換え後も211系3連、4連と連結可能な車両が必要だろう。211系2連を作れれば、問題は解決する。表4より、2連は8＋18＝26本必要だ。田町車のサハは全て廃車されたようだが（寒冷地対応設備がないため）、幕張車、高崎車からはまだサハを捻出できる（2012/11/15現在）。２０１２年国電総研スペシャルでは「１Ｍ１Ｔとなる２連では初めからＶＶＶＦ化される可能性も考えられる」と予想している。種車がサハ－サハならば、走行機器の実装形式は比較的自由にできるので、共存するE127系と同等のクモハ－クハ方式（1M1T）にして、保守を簡単化するのではないだろうか。3連、4連と連結する際は、制御方式が異なる車両の協調で苦労しそうだが、2連の出力を強めに設計して、連結時は抑えるようにするのではないか。

＜高崎の地区輸送を置き換える（？2）を予想＞

（？2）の車両が何かを予想するには（？2）がどのような地区を走るかを調べればよい。現在は115系と107系が担当しているが、これは高崎の郊外輸送だ。上越線（高崎－水上）を中心として、ここから分岐する信越本線（高崎－横川）、吾妻線（渋川－大前（上越線高崎から直通））、両毛線（新前橋－小山（上越線高崎から直通））がある。

高崎の郊外輸送とよく似た場所が他にもある。千葉の房総地区輸送だ。千葉駅を起点として、総武本線（千葉－銚子）、成田線（佐倉－松岸（千葉から佐倉以遠に直通、松岸から銚子に直通））、外房線（千葉－安房鴨川）、内房線（蘇我－安房鴨川（千葉から蘇我以遠に直通））の4路線が主な路線としておこう。他にも路線はあるが、比較のため単純化した。

209系転属の記録（「4号車の5号車寄り」中記事）

上の記事は本稿を含む「置き換え予想」シリーズで繰り返し紹介しているが、房総地区の車両は113系と211系から209系に置き換えが進み、2013/03ダイヤ改正までに完了の見込みだ。

高崎郊外輸送も、房総地区輸送にならって置き換えが進むというのが私の考えだ。バリアフリー新法への対応の観点から、首都圏のJRでは扉位置の統一を目指しており、4扉車を原則としたいように見える。そのため（？2）の候補は205系で、川越車、鎌倉車を4連、3連に短編成化すると予想する（川越車は2013年度、鎌倉車は2014年度にE233系の導入によって置き換えられる予定。間もなく転用が可能になる）。郊外の人口増加は房総、高崎とも同様に進んでいるようで、混雑の緩和も目指したい。セミクロスシート車とロングシート車が偏っている現状から、セミクロスとロングを同数持つ編成を導入するのではないか。房総用の209系は6連と4連があり、先頭車がセミクロス、中間車がロングの座席配置に改造された。205系改造車の場合、3連は中間車のみロングシートにすると、混雑緩和の妨げになりそうだ。両先頭車の運転台寄りの半分をセミクロスとし、残りはロングとするか、あるいは中間車のみセミクロスとする、などでロングシートを多めに調整するのではないか。4連も3連の座席パターンに合わせて、先頭車はセミクロス、中間車はロングとするか、あるいはその反対になるだろう。

115系の4連、3連はそれぞれ205系の4連、3連で置き換え可能だろう。107系の2連については、小山の107系を踏襲して、運用を見なおした上で205系4連に置き換えるのではないか。

＜まとめ・置き換え予想＞

表5・211系および205系による115系、107系の置き換え予想

廃車予定車両	転入予定車両
長野総合・115系・6連・14本	田町・211系・6連・14本
長野総合・115系・3連・28本	幕張・211系・3連・14本高崎・211系・3連・13本
長野総合・115系・2連・7本松本・123系・1両・1本	211系・2連（サハ改造）・8本
新潟・115系・4連・14本	田町・211系・4連・14本
新潟・115系・3連・32本	高崎・211系・3連・32本
新潟・115系・2連・18本	211系・2連（サハ改造）・18本
高崎・115系・4連・11本	川越・205系・4連・11本
高崎・115系・3連・11本	鎌倉・205系・3連・11本
高崎・107系・2連・19本	川越・205系・4連・10本?
小山・107系・2連・8本	京葉・205系・4連・13本
豊田・115系・6連・1本豊田・115系・3連・12本	高崎・211系・3連・14本

予想の全体を表5としてまとめた。なお、表にはないが、高崎郊外の輸送には、115系、107系の他に211系5連を使うものがある。両毛線の往復を主とする列車で、3運用だ。高崎地区211系　車両運用（「高崎地区運用情報」中記事）または髙タカ211系・E233系運用まとめ（「湘南新宿ラインと東北縦貫線のページ(仮)」中記事）（表中のA-72、73、74が該当する）で確認できる。両者でとりあげている運用は同じものだ。この3運用の置き換えには205系6連を4本導入するのが適当だろう。

高崎郊外の列車運用の全容、および高崎211系の運用の全容は以下のサイトに詳しくまとまっており、私の予想はこの情報を参考にした。上にも挙げたが、再度紹介しておく。

車両別運用表（「高崎地区運用情報」中記事）
（115系、107系、211系による上越線・信越本線・吾妻線・両毛線の運用がまとまっている）

髙タカ211系・E233系運用まとめ（「湘南新宿ラインと東北縦貫線のページ(仮)」中記事）
（高崎211系による高崎線、東北本線（上野－宇都宮）、東北本線（宇都宮－黒磯）、両毛線の運用がまとまっている）

制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

千葉県内のJR車両の変化に続き、甲信越、さらに高崎郊外の車両の変化を予想してみた。これでJR東日本の車両転属は一段落する。予想がどれだけ合っているか、今後の動向を確認していきたい。次の変化は中原205系と、総武緩行線209系、E231系になりそうだ（国電総研によると、新車両が導入されることで、山手線→総武緩行線→南武線、相模線と玉突き転属が発生すると予想している）。しかし、これは比較的遠い将来の話となりそうだ。次項については記事になることがまだ見つからない。