不定期記事「探索者」

作成日:2012/11/02
最終更新日: 2013/03/15
作成者:しんどうまさゆき

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JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第10回を以下に述べたい。前回と同じく、時事性が高いため、ダイヤ改正等の節目節目で情報の整理・提供を行ってみた。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系、211系、209系)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<211系も運用離脱>
【JR東】211系3000番代マリ407・408編成 長野総合車両センターへ(「2nd-train」中記事、2012/06/13)

【JR東】211系3000番代マリ406+401編成 長野総合車両センターへ配給(「2nd-train」中記事、2012/07/05)

【JR東】211系3000番代マリ501+405編成 長野へ配給 (「2nd-train」中記事、2012/10/13)

【JR東】211系3000番代マリ502+509編成 長野へ配給 (「2nd-train」中記事、2013/01/10)

209系6連の転属が進んだ結果、211系の幕張車が余剰となり、総武本線・成田線での運用から離脱の上、地方疎開が始まった。

【JR東】10月6日からの幕張車セ211系運用(「鉄道ホビダス」中記事、2012/09/24)

2012/10/06以降、211系の運用が見直された。使用頻度は以前と比べ半分程度に減ったという(2012/10中に14本中6本が疎開されている)。

211系ナノN304編成(元211系マリ407編成)構内移動・構内試運転 長野総合車両センター(「BCL/DXing 鉄道 写真 音楽 趣味悠々」中記事、2012/07/20)

疎開した211系の幕張車の中には、長野総合車両センターへの転属が決まったものもあり、3連に短縮の上、長野地区で試運転を繰り返している。

平成24年度の車量配属について(ジェイアール労働組合長野地方本部情報 No.300, 2012/03/26)

なお、前回記事の繰り返しとなるが、211系3連8本が長野総合に転属する予定だ。2013/03ダイヤ改正時に運用開始とのことなので、幕張車、高崎車を使用すると思われる(幕張車、高崎車には寒冷地対応設備があり、田町車と比べて改造の手間が少ない)。

(2013/03/13 補足、2013年度は幕張車8本が長野総合に転属する見込み。

211系ナノN339編成(元2111系マリ509編成)構内試運転−出場 長野総合車両センター(「BCL/DXing 鉄道 写真 音楽 趣味悠々」中記事、2013/03/06)

以下で長野総合での現車の写真を確認できる。115系と同じ「長野色」の帯を巻いているのが分かる。過去の記事でも、211系が長野色に変わった様子が確認できる)

209系置き換えの記録−幕張車両センターへの転属 - 2000・2100番台(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系転属の記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系、209系の転属については上記記事が詳しい。「4号車の5号車寄り」フォーラムでは、疎開状況の情報交換が盛んで、その情報収集力は私も重宝している。

2012年国電総研スペシャル

また、久々に国電総研のサイトが更新された。209系6連4本の改造予定が載っている。211系、205系の転属についても情報がある。

<209系の改造工程予想>
終了間近となった、209-2000の改造実績・予定を以下にまとめた(実績および予想は、いずれも2012/11/02現在での情報による)。

図・209-2000改造工程予想・6連限定

図・209-2000改造工程予想・東京総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・大宮総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・長野総合車両センター

図・209-2000改造工程実績・郡山総合車両センター

図・209-2000改造工程実績・秋田総合車両センター

209系の改造はいよいよ完了に近づき、既に入場した6連2本の出場を待つのみとなった。2013/03ダイヤ改正に合わせて、房総各線は209系で統一されるだろう。

(2013/03/13 補足、残った6連2本も出場した。

【JR東】209系2100番代マリC619編成 所属先へ回送 (「2nd-train」中記事、2013/01/11)

209系2100番代最終編成が出場 (「railf.jp」中記事、2013/03/07)

幕張の209系は4連42本、6連26本が計画どおり出揃った。2009/06/14に転属車第1号が出場して以来、転属完了まで4年弱を要したことになる。209系が京浜東北線を運用離脱し、編成短縮の上、地方疎開が始まったのは2008/08ころなので、車両転配の経緯は4年半に及んだ。千葉県民の日常の足となっている房総各線を一新するためにこれほどの年月がかかるとは、一般の利用者には想像できないことだろう。総武快速線のE217系への機器更新工事も同等の年月がかかっているため(2008-2012、4連46本、11連51本)、房総の車両の大所帯ぶりが分かる)

(2013/03/13 補足、余談だが、209系の機器更新はあと1本残っている。中原電車区の6連1本(南武線用)がそれで、最後に残った209系0番台の1本でもある(機器更新後は2200番代に改番される見込み)。2013/03/16ダイヤ改正以降、機器更新があるだろうが、目立った動きはない)

<元京葉線205系の転属>
富士急行6000系デビュー(「鉄道ホビダス」中記事、2012/03/02)

元京葉車両センターの205系は、量産車(のうち山手線からの転属車)1本、量産先行車(山手線からの転属車)3本が富士急行へ譲渡されることになった。転属後、富士急行6000系として運用を開始した。

日光線、宇都宮線に205系リニューアル車(「鉄道ホビダス」中記事、2012/10/02)

日光線用205系600番台が出場(「railf.jp」中記事、2012/10/17)

205系Y8編成が出場(「railf.jp」中記事、2013/03/08)

205系量産車(のうち京葉線生え抜き車)の日光線および東北本線(宇都宮−黒磯)への転属がJR東日本大宮支社から発表された。日光線用の車両は既に一部が改造を終えて出場した。ステンレス車体にマルーンの帯を巻いている。第二の人生にふさわしい、渋い色合いで好感が持てる(マルーン・・・いわゆる栗色。阪急の電車が伝統的にこの色(厳密には「阪急マルーン」という専用色)で塗装されており、地元利用者から「この色が鉄道にふさわしい」と支持されていることで鉄道ファンには有名)。

(2013/03/13 補足、東北本線用の車両も1本が出場した。湘南色の帯を巻いている。205系が湘南色の帯を巻くのは、これが初めてのはずだ。湘南色が路線のイメージカラーである東海道本線、東北本線、高崎線には、トイレを付けない通勤形電車の205系は投入されず、トイレを付ける近郊形電車の211系、後に一般形電車のE231系、E233系が投入された。余談だが、205系は多彩な帯を巻いた車両だと言える。特に鶴見線(2013年現在現役)の3色帯と、京葉線(引退済)のピンク帯は、国鉄時代にはなかった派手目の配色で希少だ。写真集を出すと面白いだろう)

京葉線の世代交代(「4号車の5号車寄り」中記事)

京葉線用205系、209系の転属については上記サイトに詳しい。

ところで、205系の量産先行車は全部で4本ある。残り1本はトップナンバーだ(トップナンバー・・・車両番号のシリアルナンバー部分が1の車両。系列の最初に製造されていることが多い。205系ではクハ205-1、モハ205-1、モハ204-1、サハ205-1がある)。トップナンバーのうち3両(クハ205-1、モハ205-1、モハ204-1)が除籍の上、大宮総合車両センターの検修技能訓練所で訓練車となっていることが分かった。現在は各種戸閉機器(E259系用など)を取り付けて使用されているとのことだ(鉄道ダイヤ情報2013/01号、p.25)。余談だが、同誌ではクハ209-7が大宮総合の脱線復旧訓練所で使用されている旨も確認できた。

<久留里線にキハE130形が到着>
【JR東】久留里線向けキハE130系100番代3両 新津車両製作所出場 (「2nd-train」中記事、2012/08/29)

【JR東】久留里線向けキハE130系100番代3両 新津車両製作所出場 (「2nd-train」中記事、2012/10/26)

久留里線用キハE130-100登場(「鉄道ホビダス」中記事、2012/10/01)

久留里線旧型気動車さよなら記念イベント(「JR東日本千葉支社−What's new−プレスリリース一覧−2012/09/21」)

久留里線用の新車であるキハE130形が木更津に到着している。ロングシート・トイレなし・両運転台の仕様が10両導入され、2012/12/01で既存のキハ30、キハ37、キハ38は引退する予定だ。なお、キハ30についてはいすみ鉄道への譲渡の可能性がある(詳しくは後述)。

(その後、車両交代は予定通り進んでいる。

【JR東】キハE130系100番代 営業運転開始(「2nd-train」中記事、2012/12/01)

【JR東】久留里線キハ30・37・38形 運用離脱(「2nd-train」中記事、2012/12/01)

【JR東】キハ38形3両 郡山へ配給(「2nd-train」中記事、2012/12/05)

【JR東】キハ30・37・38形6両 新津へ配給(12日)(「2nd-train」中記事、2012/12/12)

【JR東】キハ38形3両 郡山へ配給(「2nd-train」中記事、2012/12/19)

キハ38が7両中3両、郡山へ配給済。更に、キハ37が3両中3両、キハ38が7両中1両、キハ30が3両中2両、新津に配給済。最後に、キハ38が7両中3両、郡山へ配給済。郡山への配給は廃車のためだろうが、新津への配給は譲渡が考えられる。今後の情報がほしいところだ)

(2013/03/13 補足、キハ38-1の行方が判明した。詳しくは下記でも紹介している「いすみポッポの丘」をご確認頂きたい)

<いすみ鉄道にキハ28-2346が到着>
いすみ鉄道 社長ブログ

いすみ鉄道では、キハ52-125に続き、国鉄気動車のキハ28-2346が導入される。また、2013年度の事業として、久留里線を引退したキハ30-62を導入する。詳しくは上記ブログにて、以下の記事をご覧頂きたい。
いすみポッポの丘(「ファームリゾート鶏卵牧場」中記事)

最近千葉テレビでも宣伝が盛んな、ポッポの丘も要注目だ。上記記事に詳しいが、いすみ鉄道を引退したいすみ204(いすみ200型)に始まり、銚子電鉄を引退したデハ701、702(銚子電鉄デハ700形)、元青函連絡船「羊蹄丸」で保存されていたDE-10 30(国鉄DE10形ディーゼル機関車)、元丸の内線の454(営団400形)、寝台特急・寝台急行として使用された客車のオロネ24-2、オハネフ24-2(国鉄24系客車)、吊り掛け駆動車の元北陸鉄道モハ3752(北陸鉄道モハ3750形)、これまた吊り掛け駆動で、元万葉線の路面電車デ7052(加越能鉄道デ7000形)といった昭和の鉄道車両が展示されており、無料で見学できる。展示内容はJR東日本の鉄道博物館の向こうを張っていて、当時を知らない私でも歴史的な価値の高さなら分かる。昭和を懐かしむ鉄道ファンを狙い撃ちにしたことが明白だ。素人考えでも、一般的に博物館の値段は数千万円から数億円に値すると思うが、これを無料で見学できることは全く大らかとしか言いようがない。

(2013/03/13 補足、千葉都市モノレールの1003号車、1004号車(千葉都市モノレール1000形電車)、久留里線のキハ38-1(国鉄キハ38形気動車)も将来展示のため、ポッポの丘に搬入された。少量生産の希少な車種に絞って展示する計画だと私は予想する)

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

幕張および京葉の各車両センターでは、車両の入れ替えがほぼ終わり、今後16年程度は現状の陣容で車両が運用されるだろう(JR東日本の新保全体系では、走行距離240万km、または10〜18年毎に大規模修繕である車体保全を行う。209系は房総転属に際して、車体保全の一部である機器更新工事を行った(出展・Wikipedia「鉄道車両の検査 2.5 車体保全」)。なお、鉄道ダイヤ情報 2013/01号 pp.14-17「近年の車両検修の潮流」にも同様の解説がある))。2013年以降生まれの千葉県民は「国鉄型車両を知らない」世代になる。さすがに、武蔵野線の205系では国鉄の風情が感じられない。

ところで、1976年以降生まれは「蒸気機関車を知らない」世代だ(出展・Wikipedia「日本の蒸気機関車史 6 実用機関車の終焉」)。定期列車としての蒸気機関車列車が1975年に終了する)。私はこの世代にあたる。吊り掛け駆動車の乗車には間に合った。記憶があやふやだが、都電荒川線(東京都交通局7000形)、函館市電(函館市交通局8000形)、江ノ電(江ノ島電鉄1000形)には乗ったと思う。

明治・大正・昭和は、轟音の時代だったのではないか。蒸気機関車の汽笛も、吊り掛け駆動の重低音も、初期のVVVFとは比べ物にならない音圧をしている。鉄道は重厚長大なものの代表で、その特徴は走行音に現れていた。文字通りに「身体が震える」のが鉄道の音だった。平成の時代では豪快なものごとをなかなか見られなくなったので、こういう音を残しても罰はあたらないだろう。youtubeやDVDの映像ではなく、本物の音を感じることに価値がある。

千葉県内のJR車両の変化はひとまず終わったので、私の今後の興味は甲信越に転属する211系と、埼京線・横浜線・南武線から転出するだろう205系になる。次項でこのあたりの動向を予想してみたい。