不定期記事「探索者」

作成日:2011/03/03
最終更新日: 2011/04/22
作成者:しんどうまさゆき

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JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第7回を以下に述べたい。前回と同じく、時事性が高いため、ダイヤ改正等の節目節目で情報の整理・提供を行ってみた。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、205系量産先行車)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<113系がめっきり減った>
千葉支社の見たまま・運行情報・車両情報(「千葉総合車両センター」中記事)

まず、日々の車両運用の結果については、上記サイトに詳しい。

209系6連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

209系4連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

113系6連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

113系4連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

211系5連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

また、2010/12/04ダイヤ改正後の運用パターンについては、上記に詳しい。

2010/12/04ダイヤ改正以降も、継続的に209系2000番代が投入されている。4連は32本、6連は14本になった。113系は4連が15本、6連が1本で、全体の7割程度が廃車された。211系は5連が14本で、変化がない(いずれも情報は2011/04/22現在)。筆者が内房線を利用してみた限りでは、2011/02から113系を見る機会がめっきり減った。前回述べたように、4+4連の運用は一旦113系に差し戻されたが、2010/12/04ダイヤ改正以降に投入された209系が試運転を終え、4+4連での運用を開始したからではないかと推測する。4連の運用については全体の75%程度が209系に変わった印象がする。211系5連の総武本線、成田線方面の運用については、2010/12/04ダイヤ改正後も、改正前と大差ないようだ。2010/08/27-2011/02/28の間、東京総合、大宮総合、長野総合への209系6連の入場がなかったので、211系5連の置き換えはいましばらくおあずけとなるはずだ。

209系幕張車両センター編成表(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系幕張車両センター編成表(「4号車の5号車寄り」中記事)

113系幕張車両センター編成表(「4号車の5号車寄り」中記事)

209系置き換えの記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

なお、幕張車両センターの車両在籍の最新状況は上記に詳しいのでご参考頂きたい。

<113系の終焉>
いよいよJR東日本の113系は終焉を迎えようとしている。前回述べたように、113系リニューアル車の廃車回送は技術的に少々難しいため、一気には進められない。また、2011/01-03は例年よりも降雪量が多かったため、回送経路となる中央本線や上越線の周辺(特にJR西日本の北陸本線、大糸線 南小谷−糸魚川 間)がしばしば運休になっている。ただし、209系の投入数は十分なものなので、雪解けが見込まれる2011/04以降、堰を切ったように次々と減っていくだろう。総武本線、成田線ではまだ113系4+4連が健在なようだが(2011/03/03現在)、油断はならない。写真撮影、乗りつぶし等は今のうちに済ませたほうがよい。

<211系の転出は2011/06以降か>
前回と同様、以下に各総合車両センターでの209-2000の改造工程を予想してみた(進捗状況と予想は、いずれも2011/04/13現在での情報を反映している)。

図・209-2000改造工程予想・東京総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・大宮総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・長野総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・郡山総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・秋田総合車両センター

当初の予定では、209系は2012/01までに転属を完了予定ではある(鉄道ファン 2009/11号 p.68)。4連についてはほぼ予定内に完了するだろう。しかし、6連の改造は意図的に遅らせているように見える。長野総合は4連の改造が未完了だからともかくとして、東京総合、大宮総合は他の車両の検修が殺到したわけでもない。当初の予定は延期になり、211系5連の置き換え期間は、早くとも2011/07-2012/06周辺になると予想する。これは、211系5連の改造にあたって、遠方への疎開留置を避けたいためだろう。幕張車両センター所属の211系5連14本については、3連に短縮のうえ、豊田車両センター(中央本線の山梨県、長野県内用)に転属させる案をJR東日本が出しているので(鉄道ファン 2009/11号 p.65 図2に転属を示唆する情報がある)、編成短縮および改造は、全て長野総合で行えると都合が良い。長野総合での209系の改造が進み、留置線が空いてから配給が始まるのではないか。209系の疎開留置の場合、休止中の留置線を復活させる(青森車両センター)等、用地の確保がJR東日本管内全体に及んだ。2011-2013の期間は、東北本線、高崎線、東海道本線の211系がE233系に置き換えられ、長野と新潟に大転属すると筆者は予想しているので(「探索者 2010/11/03」を参照)、管内全体を使った疎開留置が再び発生するだろう。

<京葉線の様子>
E233系京葉車両センター編成表(最新版)(「4号車の5号車寄り」中記事)

京葉線の世代交代(「4号車の5号車寄り」中記事)

内房線・外房線・東金線への乗り入れがある京葉線の最新情報は以下に詳しい。E233-5000は10連貫通編成が17本、6+4連分割編成が2本在籍し(2011/04/12現在)、201系、205系、209-500もいよいよ完全撤退が近い(ただし、209-500は10連から8連に短縮され、京葉線から武蔵野線に転属する)。内房線では205系を見る機会がほとんどなくなっている。まだ噂の段階だが、京葉205系には日光線・東北本線での第二の活躍が長く続くことを期待したい。また、205系の量産先行車が1本、なぜか4連に短縮の上、長野総合で保管されている。どのような用途なのか、判然としない。個人的な希望だが、205系のトップナンバーは4連にして鉄道博物館に保存していただきたいと思う。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(2011/03/11発生、M9.0)を端とする東日本大震災は、一万人を超える死者、そして一万人を超える行方不明者を出すに至った。千葉県でも地震および津波の被害があった(マスコミの報道は旭市に偏っているが、津波の被害は九十九里浜沿岸の市町村全域に渡っている。千葉県から近い茨城県潮来市、鹿嶋市、神栖市は千葉県内よりも地震の被害が目立って見られる)。被災者の方々にお見舞い申し上げます。

震災により、鉄道の被害も大きい。近場では、鹿島線が2011/04/16にようやく復旧した(延方−鹿島神宮、これにより全線復旧)。東北地方ではJR東日本の三陸海岸方面の路線については「全て復旧させる」との回答がJR東日本からあった。一方、三陸鉄道の自力復旧は全体の3分の1に留まり、それ以上は支援がないと困難な状態だ。

車両の損傷もある。マスコミで報道された限りでも、205-3100 4連1本(仙石線)、E721系 2連1本(常磐線)、キハ110系 1両(大船渡線)が津波に流され、大破した。路線が復旧次第、代替車両の調達を行うことになるだろう。しかし、東京電力の計画停電が2011年夏に計画されているため、メーカーの生産が順調に進むとは言い切れない。

房総用209-2000の改造、および京葉線用E233-5000の増備は震災以後、今のところは滞りなく進んでいる。車両がJR東日本管内の各地に分散しているにも関わらず、被災のニュースを目にしない。奇跡的な運の良さだと思う。計画停電が夏に発生すれば、進捗が3ヶ月程度は遅れるだろう。東日本の社会インフラは未だ混沌としているが、正常時に戻る努力を一つ一つ、弛まず進めていってほしい。

なお「探索者 2011/04/17」で紹介したが、福島第一原発の周辺地域に出された避難指示や屋内退避指示は、全く無意味だとの主張がある。これが正しければ、避難指示区域内にある常磐線(四ツ倉−亘理)の復旧が迅速化する。ぜひ検討するべき課題だと思う。