不定期記事「探索者」

作成日:2013/05/05
最終更新日: 2013/06/01
作成者:しんどうまさゆき

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JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第11回を以下に述べたい。しかしながら、前回の第10回の時点で置き換えはほぼ全て終わってしまった。今回は、その後の細かな変化を整理し、情報提供を行うこととしたい。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系、211系、209系)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<211系は幕張から撤退中>
【JR東】211系3000番代幕張車 定期運用終了(「2nd-train」中記事、2013/03/17)

【JR東】211系マリ503+507編成 配給輸送(「2nd-train」中記事、2013/03/28)

【JR東】幕張車両センター所属211系10輌が長野へ配給輸送される(マリ506・508編成)(「鉄道ホビダス」中記事、2013/04/25)

【JR東】211系3000番代マリ504+505編成 長野総合車両センターへ(「2nd-train」中記事、2013/05/31)

前回に述べたが、209系の転属が終了し、所定の数が揃ったため、2013/03/16ダイヤ改正以降、房総各線の列車運用は209系で統一された。残っていた211系5連6本は余剰となったため、上記記事のとおり、順次長野総合へ疎開された(幕張車両センター所属車は209系のみとなった)。既に長野総合へ疎開した5連8本は、3連に短縮の上、長野総合に転属して運用中だ。幕張車は全て長野総合へ転属ではないかと思う。

209系置き換えの記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系転属の記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系、209系の転属については上記記事が詳しい。209系は一段落だが、211系は幕張車だけにとどまらず、広範囲に渡る転属が予想される。まだまだ大きな動きが続きそうだ(なお、拙稿による211系の動向予測を「探索者 2012/11/26」で公開している)。

<209系の細かな補足>
房総転属と比べれば細かい話だが、209系には気になる点がいくつかある(情報はいずれも2013/05/05現在)。

京葉車両センターの209-500(ケヨ34編成)は10連のまま、引き続き京葉線で使用中だ。内房線・外房線への乗り入れがある運用で、以前と同様、時たま内房・外房線に乗り入れてくる。8連に短縮し、武蔵野線に転用されると思われるが、動きはない。E331系が京葉線にいまだ復帰していないため、代わりに209-500が必要なのだろう。なお、E331系については、営業運転を兼ねた試験が予定期間の3年を既に経過している。今後京葉線で継続使用するのかどうか、不明確な状態が続いている。仮にE331系を廃車するならば、京葉線の運用を1本減らすか、E233-5000を1本、新製投入する必要が生じる。

中原電車区の209-0(6連1本、南武線用)は機器更新を行い、2200番代に改番される見込みだが、パンタグラフをシングルアーム式に変更しただけで、他に目立った動きはない。

松戸車両センターの209-1000(地下鉄千代田線乗り入れ対応車)に転属等の動きがあるかもしれない。

小田急線 千代田線 JR常磐線(各駅停車)の相互直通運転に向けた準備を開始します(「JR東日本」プレスリリース、2013/03/27)

2016/04ころをめどに、東京メトロ千代田線、JR常磐線各駅停車、小田急線は3線相互直通を開始すると発表があった。E233系には保安装置搭載等の車両改造を実施するとのことだが、209-1000については記載がない。千代田線内の走行のため、209-1000は特殊な仕様で作られている。JR車の運用削減、あるいはE233-2000の増備によって、廃車か、もしくは他線区へ転属か(転属の場合、地下鉄東西線がもっとも簡単だろう)。海外譲渡もありうる。209-1000の仕様については以下を参照頂きたい。

Wikipedia JR東日本209系電車 5.6 1000番台

<元京葉線205系は転属中>
第10回の繰り返しとなるが、元京葉車両センターの205系は、一部が富士急行6000系として運用を開始した。

もう一方、日光線および東北本線(宇都宮−黒磯)への転属も進行中だ。日光線用にはマルーンの帯、東北本線用には湘南色の帯を巻いて使用されている。

京葉線の世代交代(「4号車の5号車寄り」中記事)

京葉線用205系、209系の転属については上記サイトに詳しい。改造中の205系は残り2本で(東北本線用の4連2本、2013/05/05現在)、2013/07中には出揃うだろう。

<E233系の投入はもう少し続く>
【JR東】E233系3000番代タカL17編成 新前橋へ配給(「2nd-train」中記事、2013/03/13)

E233-3000は投入が一段落した(上記記事の10連が最終編成)。国府津車両センターへ10連2本、5連2本。田町車両センターへ10連14本、5連14本。高崎車両センターへ10連17本、5連16本となっている。

【JR東】田町車両センター規模縮小に伴う所属車両転属(「2nd-train」中記事、2013/03/17)

なお、上記記事に詳しいが、田町車両センターは2013/03/16に廃止され、田町車のE233-3000は国府津へ転属した(ただし転属は「書類上」という意味合いが強い。E233-3000の車両留置機能は旧・田町でも引き続き存続する。削減される留置場所は、主に特急車用らしい)。センターの廃止は、所在地である品川駅北側の車両基地再編と土地開発事業の一環だ(新聞・テレビ報道もされた、都営浅草線の泉岳寺駅付近に山手線新駅を設ける計画もこの一部)。2014年度の東北縦貫線開業に合わせた事業であり、東急東横線と東京メトロ副都心線の相互直通(2013/03/16開始)に対抗する意図があるのだろう。田町と浜松町は京浜東北線と山手線のみの駅であり、隣接する新橋、品川より地味な印象がある(新橋、品川には東海道線、横須賀線も停車する)。浜松町は東京モノレールの起点でもあるが、いざ使うときには「どこで乗り換えだっけ」となりやすい。

【JR東】E233系7000番代ハエ101編成 新津出場配給(「2nd-train」中記事、2013/04/09)

【JR東】E233系7000番代ハエ102編成 新津出場配給(「2nd-train」中記事、2013/04/16)

【JR東】E233系7000番代ハエ103編成 新津出場配給(「2nd-train」中記事、2013/04/23)

【JR東】E233系7000番代ハエ103編成 川越・埼京線内で試運転(「2nd-train」中記事、2013/04/24)

E233-3000の後は、埼京線用のE233-7000(川越車両センター配属)を矢継ぎ早に投入している。10連を週1本ペースで投入し、早くも3本目が出場した。新津の製造能力を限界まで使っていると思われる(10連を週1本ペースより多く投入した実績はない。京浜東北線、京葉線のときでも、10連を週1本で作り、しかも月に3本が限界、といったペースだった)。実態経済はアベノミクスの3本の矢よりも、遥かに速い動きをしているようだ。

秋田新幹線用車両と埼京線・横浜線用車両の新造について(「JR東日本」プレスリリース、2012/04/10)

トレインチャンネル紹介(ジェイアール東日本企画−JR車両メディア−トレインチャンネル、2012/05/05閲覧)

上記記事によると、JR東日本プレスリリースでは、埼京線用を10連31本、横浜線用を8連28本、それぞれ製造予定となっている。埼京線は2013年度から、横浜線は2014年度から運転開始予定だ。トレインチャンネルの紹介資料によると「埼京線において新型車両が導入されます。2013年6月より導入を開始し、9月時点で50%、12月時点で80%、1月時点で100%の導入となる予定です」(p.21)と、詳細な予定が記述されている。

新津単独で上記のペースは達成できないはずなので、総合車両製作所(旧・東急車輛製造)、川崎重工の両方あるいはいずれかが、E233-7000を製造すると思われる。

国電総研2012スペシャル(「国電総研」中記事)

国電総研の予想では、埼京線、横浜線の後、後継車両のE235系が1本、山手線に導入されるとしている。量産先行車を投入して、仕様を細かく詰める計画だろう。投入時点で首都圏を走行する車両は、209系、E231系、E233系(新保全体系を適用する車両)が大半になるため、車両置き換えの必要性は今後15、6年程度はない(機器更新の上継続使用とすれば、とりあえずはよいため)。今後の置き換え候補は中原電車区(南武線用)、国府津車両センター(相模線用)の205系となるだろう。京葉車両センター(武蔵野線用)の205系は機器更新済なので、おそらく動きはない(転属に際して機器更新を実施。転属は2002-2005年)。JR東日本で飛び地的に205系が配属されている、仙台車両センター宮城野派出所(仙石線用)では、機器更新で対応するだろう。

あるいは、前述のトレインチャンネル(車内液晶画面でのCM放送)の導入が置き換えの動機になるかもしれない。未導入の主要路線は、東海道本線、東北本線、高崎線、常磐線(取手以遠)、常磐線(取手まで)、横須賀・総武快速線、総武緩行線、横浜線、相模線、南武線、武蔵野線となっている。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

長らく続けた千葉県内のJR車両の変化はこれで一応終わった。房総各線については、今後15、6年程度は変化がないだろう。

三陸鉄道

一方、今まさに動きが活発な場所がある。三陸鉄道だ。東日本大震災から2年が経ち、私も予想しない早さで復旧が進んだ。北リアス線は久慈−田野畑、小本−宮古が復旧。南リアス線は盛−吉浜が復旧(いずれも2013/05/05現在)。残った区間は2014/04に復旧予定だという(北リアス線の田野畑−小本(10.5km)、南リアス線の吉浜−釜石(9.9km)が不通)。クウェート政府の資金援助により、浸水して使用不能になった車両の代替として、新車3両(36-700形)を南リアス線に導入したという。詳細は以下をご覧頂きたい。

Wikipedia クウェート 7.経済

在日クウェート国大使館 EMBASSY NEWS 2013/04/03

アラビア語のことわざに以下のものがある。「自由人(非奴隷)の約束は負債(と同じ)だ」(出展、NHK アラビア語講座 2012年度テキスト p.125)。英訳すると one's word is one's bond. に相当するようだ。「約束は必ず守る、約束したことは契約と同じ」という意味らしい。大使館によると、震災支援は「日本とクウェートの連帯の証」だという。過去、日本がクウェートに何をできたのかは勉強が必要だ(大使館と外務省に経緯を教えて貰いたい)。

大使館の EMBASSY NEWS 写真(2013/04/03)によると、36-700形の車体側面にアラビア語、英語、日本語の3ヶ国語でクウェート国への感謝のメッセージが書いてある。アラビア文字を読もうとすれば、普通の日本人は難解さにがっくりきてしまうだろうが、挨拶を交わす程度ならアラビア語を覚えてもよいだろう。「アッ・サラーム アライクム(こんにちは)」、「マアッ・サラーマ(さようなら)」「シュクラン(ありがとう)」が言えるだけでも、アラビア語話者は好印象を抱くはずだ(アラビア語話者から自分へ、片言でも日本語を語られた時を想像するとよい)。思わぬ所で海外との付き合いが始まるのが、今の日本だ。