不定期記事「探索者」

作成日:2012/03/20
最終更新日: 2012/04/18
作成者:しんどうまさゆき

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JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第9回を以下に述べたい。前回と同じく、時事性が高いため、ダイヤ改正等の節目節目で情報の整理・提供を行ってみた。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系、211系、209系)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<2012/03/17ダイヤ改正実施>
2012/03/17に、JR東日本でダイヤ改正が実施された。房総各線で、車両の動向に変化はないようだ。113系から209系への置き換えが一通り終わり、211系とは運用が独立しているため、特に運用を変更する必要がないのだろう。このあたりの詳細は前回記事の「探索者2011/11/28」をご覧頂きたい。

<211系をさばきながらの209系改造>
【JR東】209系元ウラ56編成6両 秋田配給(「2nd-train」中記事、2012/03/05)

【JR東】209系元ウラ51編成 大宮総合車両センター入場(「2nd-train」中記事、2012/03/30)

【JR東】209系ウラ42編成 東京総合車セへ(「RM News」中記事、2012/04/12)

(この他、ウラ52編成が長野総合へ(2012/03/19)、ウラ32編成が郡山総合へ(2012/04/03)入場したもよう。配給輸送等の写真投稿を探してみたが、発見できなかった)

東日本大震災の影響で、209系6連の転用改造は一部が2012年度に先送りされた。しばらく動きがなかったが、2012/03以降、次々動き出した。驚きなのは、北長野駅に留置の209系6連が、1本は秋田総合車両センターへ(2012/03/05)、もう1本は郡山総合車両センターへ(2012/04/03)配給されたことだ。すぐ近くに長野総合があるのに、なぜ秋田と郡山へ配給するのか。1つの可能性として、長野総合の改造能力を209系ではなく、211系に使いたいことが考えられる。

209系置き換えの記録−幕張車両センターへの転属 - 2000・2100番台(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系転属の記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

209系、211系の転属については上記記事が詳しい。211系について見ると、田町車両センターの車両が青森駅他に疎開されている。田町車は寒冷地対応装備がなく、改造に手間がかかるので、後回しにしたと筆者は予想する。なお、田町車の疎開は2012/05中には完了するだろう。

【JR東】E233系3000番代グリーン車8両 甲種輸送(「2nd-train」中記事、2012/03/05)

上記記事によると、E233-3000のグリーン車が田町用および高崎用に作られたことが分かった。211系は田町車の次に高崎車が置き換わるようだ。

平成24年度の車量配属について(ジェイアール労働組合長野地方本部情報 No.300, 2012/03/26)

また、上記記事によると、211系3連8本が、長野総合に転属するという。211系高崎車は寒冷地対応装備があり、田町車より改造は楽だろうが、E233-3000が配属してからの配給となるため、配給ペースが速く、転用改造のペースとは合わない(1ヶ月で10連→5連→10連→5連と新車が配給された実績がある)。そこで、一部は高崎に戻して、115系の置き換えに使う。改造のペースと見合った数量(3連8本)を長野総合に転属させ、残りは疎開させる、という方針になるだろう。転属の期限からして、VVVF搭載などの機器更新は今回見送る可能性が高い。

211系の幕張車については、209系6連の改造車が幕張に配属→211系5連に余剰が発生→長野総合に配給→サハを廃車→各地総合車両センターに配給→転用改造、となるだろう。幕張車には寒冷地対応装備がある(元々、高崎車だったのが余剰になり、幕張へ転属したため)。更に、209系の配属との兼ね合いで配給ペースが遅く、転用改造のペースとも合っている。209系の転属の成り行きにまかせた、段階的な置き換えになるだろう。なお、JR東日本の発表では、幕張車は豊田に転属する見込みだ(鉄道ファン 2009/11号 p.65 図2に転属を示唆する情報がある)。

<209系の改造工程予想>
以下に209-2000の6連の改造工程を予想してみた。また、各総合車両センターでの改造工程の実績も掲載する(実績および予想は、いずれも2012/03/20現在での情報による)。

図・209-2000改造工程予想・6連限定

図・209-2000改造工程予想・東京総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・大宮総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・長野総合車両センター

図・209-2000改造工程実績・郡山総合車両センター

図・209-2000改造工程実績・秋田総合車両センター

9本中5本が入場済だが、いちおう予想を挙げる。高萩駅の2本は東京総合へ、尾久の1本と高崎総合訓練センターの1本は大宮総合へ、長野総合の2本はそのまま長野総合へ、北長野駅の1本は郡山総合へ、北長野駅の1本と新潟の1本は秋田総合へ。次期ダイヤ改正までには209系の改造を完了させ、211系を幕張から一掃したいだろう。早ければ2012/10を目処に、運用を小変更の上、房総各線は209系で統一されそうだ。

幕張の211系についてだが、「改造工程予想・6連限定」を元にすると、2012/07には209系が5本幕張に転属し、209系6+4連の予備車としての211系5+5連が同数不要になるので、随時長野総合へ配給し、東京、長野、郡山の3箇所で豊田への転用改造を行う。大宮と秋田を除外したのは、211系よりも205系の転用改造に専念させるためとの筆者予想だ(元京葉車両センターの生え抜き車を日光線に転属させる噂がある。205系の現状については後に紹介する)。

<C61 20が内房線を走行>
【JR東】「DL・SL内房100周年記念号」運転(11日)(「2nd-train」中記事、2012/02/11)

2012年は内房線(蘇我−木更津間)および久留里線(木更津−久留里間)の開業100周年にあたる。これを記念して、2011/04に復活した蒸気機関車、C61 20がイベント列車として内房線を走った。

<元京葉線の205系が富士急行へ>
京葉線の世代交代(「4号車の5号車寄り」中記事)

【JR東】205系元ケヨ1編成4両+元ケヨ5編成4両 大宮総合車両センタ―入場(「2nd-train」中記事、2012/04/05)

元京葉車両センターの205系は、量産車(のうち山手線からの転属車)1本、量産先行車(山手線からの転属車)3本が富士急行へ譲渡されることになった(一部は譲渡済)。量産車(のうち京葉線生え抜き車)は日光線への転属の噂があり、4連2本が大宮総合へ入場した。留置状況は東大宮に4連1本、高崎総合訓練センターに4連2本、直江津駅に4連4本となっている(2012/04/18現在)。211系の改造と205系の留置箇所とを考慮すると、大宮、秋田、郡山が改造を受け持つのではないか。

<久留里線のタブレット閉塞が終了>
久留里線 タブレット終了(「まどぎわの総武線」中記事、2012/03/17)

ダイヤ改正に伴い、久留里線ではタブレット閉塞の運用が終了し、特殊自動閉塞(軌道回路検知式)に移行した。キハE130形の導入(2012年秋予定)も決定しており、久留里線は今年で一新されそうだ。JR房総各線から、いよいよ昭和がなくなろうとしている。

<いすみ鉄道に新車導入>
【い鉄】いすみ300形302号車 試運転(「2nd-train」中記事、2012/03/21)

まるで久留里線と合わせたように、いすみ鉄道にも新車のいすみ300形が導入された。なお、いすみ鉄道では久留里線よりも早く特殊自動閉塞(電子符号照査式)が導入されている。久留里線といすみ鉄道は元々、房総半島の横断を目指した国鉄木原線として建設されたが、全線開通の計画は途中で頓挫した。車両更新が同時期になったのは偶然の一致だろうが、因縁も感じる。余談だが、未成区間の上総亀山から上総中野までは、国道465号線に沿って建設するのが簡単だろう。距離は10km程度で、亀山ダムをまたぐ橋梁とトンネル開削が必要だが、国道465号線の拡幅工事が進行中であることを考えると、現代ならば線路敷設に技術的な困難はあるまい(とは言っても、無駄な道路やダムを作るな、公共工事を削減せよ、との論調が中央行政では過去10年強続いているので、建設は困難だろう)。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

東日本大震災から1年が過ぎたが、大きな余震が時折千葉県でも起こっている(2012/03/14 21:05ころに千葉県銚子市で震度5強を記録)。気象庁等の予想では、今後数十年間は震源域周辺で余震が続く可能性があるという。地殻のひずみが溜まっており、巨大地震が予想される地域が判明したが、地殻のひずみや過去の地震の記録がないからと言って、巨大地震が起こらないことの証明にはならず、今までの研究結果や想定を当てにしないで、全てを一から見直すことが必要だ、という(NHKスペシャル MEGAQUAKE II 巨大地震、2012/04/01放送)。

東北地方の運転見合わせ区間(JR東日本、2012/03/19更新)

東北地方の各線は、一方では復旧が進んでいる(八戸線、石巻線、仙石線、三陸鉄道北リアス線)。対して、太平洋沿岸の路線の大半は、自治体の復興・防災計画と調整が必要なため、現状回復でよしとはできない事情がある(山田線、気仙沼線、大船渡線、石巻線、常磐線、三陸鉄道南リアス線)。福島第一原発周辺(常磐線)では、警戒区域が今なお設定されており、立ち入りができない。東北の鉄道の復旧には数年がかかるようだ。

岩泉線(茂市〜岩泉)について(JR東日本プレスリリース、2012/03/30)

岩手県にあるJR岩泉線の廃止とバス輸送への転換が発表された。2010年夏の大雨による土砂崩れで不通になっていたもので、震災とは関係がない。秘境駅の押角や、終点の岩泉から行ける龍泉洞などが有名な田舎の観光路線だった。岩泉町の隣の葛巻町は牧場が有名で、筆者の地元でも葛巻産の低温殺菌牛乳を見かける(タカナシ 低温殺菌牛乳、高梨乳業株式会社より)。冬には牧場が豪雪で閉ざされ、スノーモービルでないと移動できない、と聞いたことがある。岩泉周辺は道路事情がよくない地域らしく、今後ますます穴場的観光地になりそうだ。

鉄道車両新会社の商号について(JR東日本プレスリリース、2012/03/06)

株式会社総合車両製作所

上記によると、東急車輛製造の鉄道車両製造事業をJR東日本が買い取り、株式会社総合車両製作所(英語略称J-TREC)として2012/04/02に創業した。今回の買収は東急車輛製造の経営不振が一因だったため、車両製造が合理化されるのではないかと筆者は予想する。東急車輛製造はJR東日本をはじめ、大手私鉄に車両を供給している。JR東日本への乗り入れを計画している相模鉄道を皮切りに、JR仕様の車両がある程度私鉄各社にも導入されるのではないだろうか。