不定期記事「探索者」

作成日:2011/10/18
最終更新日: 2011/12/17
作成者:しんどうまさゆき

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JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第8回を以下に述べたい。前回と同じく、時事性が高いため、ダイヤ改正等の節目節目で情報の整理・提供を行ってみた。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系リニューアル車)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<113系が消滅>
『さらばスカ色113系 房総から長野への旅』開催(「railf.jp > 鉄道ニュース」中記事)

2011/10/15に、幕張車両センター所属の最後の113系が長野総合車両センターまで廃車回送された。なお、113系は2011/09上旬には房総各線での定期運用を終えていた。

【JR東】209系2100番代マリC434編成 幕張車両センターへ回送 (「2nd-train」中記事、2011/09/09)

一方、113系置き換えのための209系は、42本の4連が全て出揃った。上記記事は42本目の4連が出場する様子だ。

209系4連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

113系4連の運用は完全に209系に置き換わった。運用の詳細は上記に詳しい。209系4連は、4連単独、4+4連、6+4連で使用されている。

<211系の置き換えも始まる>
「内房線、外房線、東金線の3ドア車両(211系)を、2011/10/01以降は4ドア車両(209系)に置き換える」旨の掲示を確認した(2011/09下旬に木更津駅ホームにて筆者が確認)。2011/10/01以降、内房線、外房線、東金線では211系が見られなくなった。3線での各駅停車は209系に統一されたようだ。

209系6連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

211系5連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

上記記事から、211系は4運用、209系6連に置き換わったことになる。

209系置き換えの記録−幕張車両センターへの転属 - 2000・2100番台(「4号車の5号車寄り」中記事)

113系、211系置き換えのための209系6連は、26本中17本が出揃った。113系6連は既に全車廃車された。211系は5連が14本在籍している(いずれも情報は2011/10/18現在)。211系は総武本線、成田線でのみ使用されていることになる(2011/10/01以降。なお、鹿島線では2010/12ダイヤ改正で、113系4連から209系4連に置き換え済)。

209系6連は、17運用に17本を充当するため、予備車がない。そのため、6+4連の運用を211系5+5連で代用し、検査等に対応することになるだろう。実際、以下の記事のように代走運用が行われた。

【JR東】211系10両編成 209系の運用を代走(「2nd-train」中記事)

<211系の転出は2012/04以降か>
東京総合車両センター一般公開時(2011/08/27)の技術科工事情報によると、209系の転用改造が延期された。2011年度に改造予定の6連3本が、東日本大震災の影響で、2012年度に先送りとなっている(出展−「4号車の5号車寄り > 鉄道BBS > スレッド: E217系 > No.243」)。なお、E217系の機器更新は東京総合で間断なく実施されている。209系の改造延期は、JR東日本千葉支社の赤字決算を圧縮するためではないかと推測する(鹿島線の線路復旧を行ったため)。209系6連の改造は、東京総合、大宮総合、長野総合の3箇所で実施予定だ。大宮、長野の情報は得られなかったが、東京と同様に延期される可能性がある。
以下に209-2000の6連の改造工程を予想してみた。また、各総合車両センターでの改造工程の実績も掲載する(実績および予想は、いずれも2011/11/18現在での情報による)。

図・209-2000改造工程予想・6連限定

図・209-2000改造工程予想・東京総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・大宮総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・長野総合車両センター

図・209-2000改造工程実績・郡山総合車両センター

図・209-2000改造工程実績・秋田総合車両センター

以上から、209系6連の予備車として211系が不要になり、転出するのは2012/04以降になりそうだ。

<京葉線も車両一新>
E233系京葉車両センター編成表(最新版)(「4号車の5号車寄り」中記事)

京葉線の世代交代(「4号車の5号車寄り」中記事)

京葉線の車両置き換えも一通り終わった。詳細は上記記事に詳しい。E233-5000は10連貫通編成が20本、6+4連分割編成が4本配属された。当初の計画では250両の製造予定だったが、240両にとどまっている。内房線、外房線、東金線への乗り入れも、ほぼ全てE233-5000になっている(209-500がたまに入線してくる)。201系は全車廃車された。205系は様々な顛末を迎えている。4連に短縮されて(おそらくは)日光線向けの転用改造を待っているもの(ケヨ1-10編成)、3連に短縮されて、富士急行へ転用されるもの(ケヨ22、25編成)、3連に短縮されて(おそらくは鉄道博物館に)保存されそうなもの(ケヨ24編成)、先頭車のみ教材として長野総合に保存されるもの(ケヨ11編成のクハ204-118)、とにぎやかだ。なお、量産先行車2編成のみが10連のまま残っている。209-500は、3編成が10連から8連に短縮され、京葉線から武蔵野線に転属した。1編成のみ10連のまま残っている(情報はいずれも2011/11/18現在)。

<総武線快速が巌根駅に停車>
房総時事新聞:巌根駅に快速電車停車可能なホーム延伸(2011/02/20)

社会資本整備総合交付金事業 木更津都市計画道路3・3・7号中野畑沢線(PDF:1,856KB)
(千葉県公式サイト ホーム > 環境・県土づくり > 県土づくり > 公共用地・土地取引 > 用地取得の進捗状況等 > 都市計画事業 > 道路整備課(街路整備室))

上記記事に詳しいが、快速を停車させるために巌根駅のホームを15両対応に延伸する木更津市の予算が計上された。総武線快速15両、京葉線快速10両は今後、巌根駅に停車する可能性が高い。アクアラインの木更津金田インター付近で住宅・商業施設の開発が進んでおり、道路の拡幅工事も実施中だ(金田地区から木更津駅への道路が片側1車線から2車線に拡幅される)。アクアライン高速バスの巌根駅停車も考えられる。巌根駅周辺は都会に変わるかもしれない。

<久留里線にキハE130形を導入>
久留里線新型車両の導入について(JR東日本千葉支社プレスリリース、2011/12/15)

上記発表によると、2012年秋頃から久留里線にキハE130形を導入し、キハ30、キハ37、キハ38を置き換えるとのことだ。「キハE130形」は両運転台の片側3扉車で、単行での運転が可能だ。2011年現在、キハE130形は水郡線で走っている。同路線は長距離なので、キハE130形にはバリアフリー対応トイレを設置している。短距離な久留里線用にもトイレを設置するのか、筆者は気になる。久留里線ではほぼ全駅にトイレが設置されているが、バリアフリー対応トイレは少ないようだ。運転本数が少ない路線にはトイレ付き車両を導入してもらいたいと思う。

2012年3月ダイヤ改正について(JR東日本千葉支社プレスリリース、2011/12/16)

他にも、久留里線の特徴だったタブレット閉塞を特殊自動閉塞に置き換え、終日で運転時刻を見直すという。2012/03/17ダイヤ改正から実施するようだ(上記記事p.5より)。

<内房線、久留里線は開業100周年>
内房線・久留里線は開業100周年を迎えます!(JR東日本千葉支社プレスリリース、2011/12/15)

SL内房100周年記念号が房総を走ります!(JR東日本千葉支社プレスリリース、2011/12/15)

さらに、2012年は内房線(蘇我−木更津間)および久留里線(木更津−久留里間)の開業100周年にあたるそうだ。2011年に復活したばかりの蒸気機関車、C61 20がイベント列車として内房線を走るという。切符の発売即完売は必至だ。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

東日本大震災から7ヶ月が過ぎ、余震に怯えることはほとんどなくなってきた。節電のため、照明をやや落とした209系の車内にも慣れた。やや落としたと言っても、113系の通常時の照明とさほど変わらないように感じる。横流ファンのおかげで、冷房も113系より効いていたように思う。新しい車両の恩恵だろう。

113系と時期を同じくして、203系も消滅した。地下鉄千代田線では203系からE233-2000への置き換えが完了した。小田急の千代田線乗り入れ車両も、4000形(2代目)に統一され、1000形は撤退した。一方、営団6000系は、一部が東京メトロ16000系に置き換わるが、大半は耐用年数の40年まで継続使用される見通しだ。昭和の鉄道の印象が強い千代田線だったが、房総各線に合わせたかのように一新されつつある。

首都圏のJR車両は、古いものでも205系と211系になっている。そして、2011-2013年は211系が撤退する時期になるようだ。

211系転属の記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

田町(東海道本線)、幕張(房総各線)、高崎(高崎線、東北本線)に在籍する211系は、E233系、209系の投入によって、長野総合(中央本線他)、豊田(中央本線)、新潟(信越本線他)、高崎(上越線他)に転属するのではないかと予想されている。転属に伴い、115系、107系が淘汰されてゆくだろうが、211系の車両数では115系、107系を全て置き換えるには足りない。205系は新造から25年が経過するため、2014年以降に改造するとは考えにくい。

東急車輛製造株式会社の鉄道車両製造事業の経営権取得について(JR東日本プレスリリース、2011/10/27)

上記によると、東急車輛製造の鉄道車両製造事業をJR東日本が買い取るとのことだ。東急は今までもJR東日本に車両を供給してきたメーカーだが、2012年からは新津と東急とで、製造車種の分担などを見直すかもしれない。東急車輌製造は親会社の東急(5000系)をはじめ、小田急(4000系)、相模鉄道(10000系、11000系)、京急(1000形)、京成(3000形)、京王(1000系、9000系)にも車輌を供給している。小田急4000形はE233系と設計を一部共有しており、JR常磐線に乗り入れる。相模鉄道の10000系はE231系、11000系はE233系と設計を一部共有している。また、2014年をめどにJRと相模鉄道とで相互乗り入れを開始する見込みだ。今後、車両製造の傾向が変化しそうで、興味深い。