不定期記事「探索者」

作成日:2010/11/10
最終更新日: 2011/03/03
作成者:しんどうまさゆき

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JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第6回を以下に述べたい。予想と言うよりも状況変化のまとめになってしまっているが、時事性が高い事柄なので、ダイヤ改正等の節目節目で情報の提供を行おうと考えた。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、205系量産先行車)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<鹿島線に209系が入線>
日刊動労千葉 No.7049(2010/10/06)

まず、上記記事に詳しいが、2010/12/04のダイヤ改正以降、総武本線、成田線方面のローカル列車が209系に統一されるとの準公式情報を動労千葉が公開している(ただし、ダイヤ改正日に一斉に変わるとは書いていない)。

【JR東】209系2100番代マリC431編成 試運転(「2nd-train」中記事)

次に、上記記事のように、209系4連を用いた鹿島線での試運転が実施済だ。2010/12/04改正までは、鹿島線には113系しか入線していなかったが、置き換えの準備が整った。

千葉支社の見たまま・運行情報・車両情報(「千葉総合車両センター」中記事)

さらに、上記記事に詳しいが、2010/12/04ダイヤ改正以降、実際の運用を観察した限りでは、鹿島線の列車の大部分が209系に置き換わったようだ(2010/03/13改正時の113系4連限定の運用が209系4連限定に変更されたように見えるという)。ただし、211系5連の総武本線、成田線方面の運用については、2010/12/04ダイヤ改正後も、改正前と大差なく充当されているようだ。房総各線のキヨスクで発売されている時刻表を確認しても(時刻表(房総各線用)、交通新聞社発行)、総武本線、成田線方面への211系運用に大きな変化はない印象だ。209系6連の改造ペースの都合上、211系の置き換えは2011年度末までに順次行われると予想する。

<113系限定と209系限定の運用を入れ替え>
209系幕張車両センター編成表(「4号車の5号車寄り」中記事)

211系幕張車両センター編成表(「4号車の5号車寄り」中記事)

113系幕張車両センター編成表(「4号車の5号車寄り」中記事)

209系置き換えの記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

上記に詳しいが、幕張の209系は4連が26本、6連が14本在籍している。一方、113系は廃車が進み、4連は20本、6連に至っては3本しかない(いずれも2010/12/04現在)。分割・併合や予備車確保の都合で、113系と209系を混在させられない場合が発生するため、209系限定運用が変更されたり、当面の間113系に差し戻して、順次209系に置き換える運用が現れたようだ。

<2010/03/13ダイヤ改正時運用からの予測>
2010/03/13ダイヤ改正時の運用が概ね踏襲されたと仮定し、さらに運行状況の観察報告を信用して、車両充当の動向を予想してみる。2010/03/13ダイヤ改正時の運用は以下のリンク先サイトに詳しいが、記事内容は書籍の時刻表で列車番号の規則性を調べて初めて読めるものなので、当記事では補足説明を加えたい。

まずは、113系と209系の4連についてだ。

幕張車両センター 113系4連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

幕張車両センター 209系4連運用(「千葉総合車両センター」中記事)
運用変更の理由を以下にまとめてみる。
次は、113系と209系の6連についてだ。

幕張車両センター 113系6連運用(「千葉総合車両センター」中記事)

幕張車両センター 209系6連運用(「千葉総合車両センター」中記事)
同じく運用変更の理由を述べる。A1-A5、A6-A12とも、113系6連が3本しかなく(2010/12/04現在)、209系と混在させるとかえって保守がしにくいため、209系限定にしたのではないか。A1-A5、A6-A12を合わせて209系6連が12本必要で、予備車も含めると14本はほしい。209系6連の14本をちょうど使いきるため、209系限定運用にする。保守の面でも、209系限定の運用サイクルになるので、予備車の出動が容易にできる。209系6連の増備に従って、残りわずかな113系6連を順次廃車する。

最後は、211系の5連についてだ。

幕張車両センター 211系運用(「千葉総合車両センター」中記事)
同じく運用変更の理由を述べる。A301-A305は、211系5+5連から209系6+4連への移行が必要なものだ。209系4連を2本(A301-A303へ。A301とA302は同じ日に同じ編成を使用するため、3運用を2本でまかなえる)、209系6連を2本(A304-A305へ)投入することで置き換え可能だ。209系4連は26本中4本に余裕がある。6連は前述の運用で14本を使いきってしまうが、209系6連の運用全体を減らして211系運用に充当する(2010/12/04ダイヤ改正で、京葉線から外房線への直通列車が日中に設定されたので、209系の運用に余裕ができたようだ)。A306-A314は209系6連に置き換えたいが、後回しにする。理由は(1)209系6連が足りないため、(2)209系の転属改造がまだ残っており、211系の転属改造を行う余裕がないため、(3)113系6連の廃車に問題があり、113系6連から209系6連への置換えを優先したかったため、の3つだ。転属直後の209系6連は改造後の初期不良に備えて6+4連で運用し、房総各線での走行実績がついた編成から6連単独運用へと振り替えてゆく。2011年度末までに、211系5連から209系6連に徐々に置き換えるだろう。

<113系リニューアル車の廃車が置き換えの制約になった>
余剰になった113系は廃車となる。しかし、廃車にあたって、リニューアル車が問題になった。「リニューアル車はブレーキ装置の関係で機関車での牽引が不可能であったこと、自走で回送するにも、搭載されているSIVから発生する誘導障害をクリアできないという問題があった。(中略)リニューアル車と非リニューアル車を連結し、6両+4両の編成を組成し、リニューアル編成のSIVを起動せずに、非リニューアル車のMGを使用し電源を供給するという方法で上越線を経由し、長野総合車両センターへ回送する方法が選ばれた(鉄道ファン2010/12号 pp.83-84)」。置き換え以前の時点(2009/03/13ダイヤ改正時)で、113系6連は13本中11本がリニューアル車だったので、113系6+4連を209系6+4連で置き換えることで、廃車候補の113系6連と4連とのペアを作ることが必要だったことになる。リニューアル車は6連、4連とも若干残っているため(2010/12/04現在)、今後も6+4連、または4+4連を組んで、自走での廃車回送が必要だ。そのため、余剰の113系はある程度留置せざるを得ない。留置場所にあまり余裕が無い状態が続きそうだ。過去にあったように、京葉車両センターへの一時疎開が発生するかもしれない。

<211系の転出は209系の出場予定次第>
余剰になった211系は、おそらく豊田車両センターへ転属する(中央線の山梨・長野地区用。鉄道ファン 2009/11号 p.65 図2に転属を示唆する情報がある)。しかし、余剰になるには、209-2000の転入を待つ必要がある。以下に各総合車両センターでの209-2000の改造工程を予想してみた(進捗状況と予想は、いずれも2010/12/31現在での情報を反映している)。

図・209-2000改造工程予想・東京総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・大宮総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・長野総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・郡山総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・秋田総合車両センター

2012/01までに転属を完了予定なので(鉄道ファン 2009/11号 p.68)、各所の担当両数を上記のように配分すればよいと予想する。あと1年であまり無理なく改造が行えるようで、だいたい終わりが見えてきたと言える。気がかりなのは長野総合車両センターだ。予定期間には間に合わず、置き換え完了が半年ほど遅れる可能性がありうる。211系5連の改造に備えた留置場所を幕張車両センター等に確保するため、209系4連の改造と113系4連の廃車を優先し、209系6連の改造を後に回すことになるだろう。改造を他所に委託する可能性もある。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。

【JR東】E233系5000番代 営業運転開始(「2nd-train」中記事)

2010/07/01以降、京葉線のE233-5000が営業入りした。2010/12/04改正では、日中に外房線に乗り入れるようになった。乗り入れ区間に限っても、房総各線では頻繁に田園を通過するのだが、車内は東京並に都会的だ。山手線のE231-500と同様、車内には液晶画面で各種放送が流れている(地元の特色として、JEF市原・千葉の宣伝も流れる)。ポスター広告も房総ローカル用とは異なり、東京都内用と同じようなので、雰囲気が全く違う(E233-5000と比べると、209-2000、E217系は15年前の車両だと見せつけられてしまう。安房鴨川に209-2000が停まっていると、けっこう近代的に見えるのだが)。

今後、京葉線と内房線、外房線、東金線との直通が増えると予想する。従来の乗り入れ対応車両は205系110km/h走行対応車の12本、および201系6+4連(分割可能編成)の4本だった。運用も乗り入れ対応車用(16本)と非対応車用(9本)とで分かれていた。E233-5000の25本を乗り入れ対応車と非対応車に分けるのは無駄な投資であり、JR東日本が従来の運用を踏襲するとは考えにくい。朝通勤時間帯の京葉線直通車両は、ぱっと見で200%程度の乗車率に見える。京葉線内のホームの長さの都合上、10連が限界なので、内房線、外房線とも毎時3本、できれば4本に増やしてもらいたい。

E233系5000番代・京葉線用車両・分割4両編成(「Train Side View in NIIGATA」中記事)

上記記事にあるとおり、2010/12に新津から配給予定の、E233-5000の6+4連分割編成1号には、クハE233-5021の車号が確認できる。6+4連の分割編成は、5021-5025の5本となり、現状の201系6+4連4本よりも増える可能性がある。旅客流動の傾向によっては、外房線・東金線での分割・併合運用を終日持つ可能性がありうる。なお、京葉線には、2008年から東京(2111A)→蘇我(5111A)→君津(1150M)→千葉(1159M)→君津の行路を持つ運用が1つあり(2010/12/04改正時点では運用番号11)、房総各線との運用共通化が実現している。もっとも、E233-5000にはトイレがないため、運用共通化をむやみに増やすことはできない。内房線、外房線、東金線では、京葉線の乗り入れ区間に限っても、駅のトイレ改修(車椅子、オストメイト使用者対応)を進める必要がある。

京葉線の内房線、外房線、東金線乗り入れが終日発生すれば、209-2000に余剰が発生する可能性がある。横須賀線・総武線快速のE217系も、湘南新宿ライン開業の影響で余剰車が発生しているため、房総各線への終日乗り入れを行う可能性がある。朝通勤時間帯の209系6+4連統一や、京葉線乗り入れ(海浜幕張、もしくは西船橋までが便利そうだ)、総武緩行線乗り入れ(こちらも西船橋までが便利そうだ)も夢物語ではない。現状では千葉駅での運転分断を行っているが、今後は3路線の相互乗り入れによる一体化が進むのではないか。