お薦めの本

最終更新日: 2008/10/28
作成者:しんどうまさゆき

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イース大全集
(メディアワークス発行)


(注意、当記事にはゲームの結末についての記述や、今後の予想が含まれています。 読むことによってゲームの面白みを損なう恐れがありますのでご注意下さい)


日本ファルコム開発のゲーム「イース」シリーズのデータブック。 イース1-6の攻略チャート、ゲームシナリオ、イース1-3のプロローグノベル (初代イースと言える、PC-88版イースのマニュアルなどに掲載された。現在ではまず入手不可能)、 イース6原案用参考年表(イース全作を統括する年表。イース1-6の各シナリオの設定、 魔法の原理などに整合性が取れるように再構成されている) 等が収録されている。

イースシリーズは1、2、3と次々に発売された。数年後に4、5が登場したが、 当時の他のゲームと比べても、またイースシリーズ全体の中でも地味な評判だった。 イース6の発表(2003年)をもって、ファルコムは再びこのゲームを熱心に作り始める。 私がイース6を遊んだとき、イースの熱は再び加速したと感じた。 イースシリーズは10年以上の年月をかけて幾度も登場している (特に、イース1、2は様々なゲーム機に移植され、PC版でのリメイクも繰り返した。 機種毎にシナリオの小変更があるので、ファルコムはどれを本家とみなしているのか、 遊び手は困惑してしまう。私はWindows版が正統だろうと思う)ので、 本書のようなガイドブックで情報を整理してもらったことには意義がある。

本書の出版以降もファルコムのイース熱は止まらない。 「イース フェルガナの誓い」(2005年)はイース3のリメイクだ。 ただし、イース6のゲームシステムを流用し、イース6原案用参考年表にも 配慮したシナリオに作り直されている(例えば、最終ボスのガルバランが 「ナピシュテムの匣」(イース6のシナリオと関わる)について、わずかながらも話をしている。 また、イースシリーズ全体に関わる「有翼人」と「古代文明」もシナリオに絡めている)。

「イース オリジン」(2006年発売)でも、 イース6のゲームシステムを流用している。 時代・舞台は700年前のイースで、イースが天空に浮上してから起こった 騒動について語られている。主人公はアドルではなく、3人用意されている。 3人それぞれ(ユーゴ・ファクト、ユニカ・トバ、トール・ファクト(鉤爪の男))に違ったシナリオがある。 本編でも「ナピシュテムの匣」について話が及ぶ場面がある(トール編にて)。

イース4、5は、Windows版では登場していない(イース4はスーパーファミコン、 PCエンジンで登場。イース5はスーパーファミコンで登場)。 一部ファンからはリメイクの要望が根強く出ている。 イース4、5は、シナリオはよいが、ゲームバランスがイマイチだったらしい。 また、4はPCエンジン、スーパーファミコン、メガドライブでそれぞれ 細部が異なるシナリオだったという(ただし、メガドライブ版は開発中止された)。 今後どうなるのかが気になる。

イース4の場合、シナリオをどのように再構成するのか、期待させてくれる。 アドルの冒険日誌が詳細不明・一部欠落のため、 種々の異説が語られるマルチシナリオとなる、 といった落ち着き方になるのではないだろうか。

イース5のリメイクも避けられない。 イース5の登場人物テラは、イース6で再登場する。 5を知らずに6を遊んだ人が相当数いるだろうから、 アドルとの関係がよく分からないはずだ。 落とし前はつけるべきだろう。 また、スーパーファミコン版イース5では、登場人物のアップ画面が出ない。 これは映画的な印象を受ける演出手法で、イースらしさの一つと言える。 5をリメイクして、アップ画面をつけてほしい。 (人物のアップ画面は、確かPCエンジン版のイース3にもなかった。「フェルガナの誓い」 にはこの演出があるので、シリーズの統一感が生まれている)

今後の製作予定を予想すると、イース オリジン→4のリメイク →外伝(イース5 オリジン)→5のリメイク →外伝(イース7 オリジン)→新作(イース7)、といった具合ではないか。

フェルガナの後にはリメイクでないものが必要だろう。 過去にリメイクを繰り返したことで、ファンは旧作に食傷気味だ。 そこでイース オリジンを作る。 まず、地図データが4リメイクに流用できる。 次に、プレイヤーが複数選べるため、マルチシナリオの試作ができる。 4リメイクの1つの可能性として、ありえないことではない。 更に、アドル以前の古代文明の世界を描いているために、 アドルの戦いとは異質の、文明の利器を利用した戦闘ができる(「ファクトの眼」はその一例)。 アドルのシナリオの伏線にもなり、次回作を期待させる効果がある (オリジンのシナリオは、少なくともイース1、2に関わる。 私はイース4にも関わるのではないかと思う)。

(余談だが、今になって思うと、イース6の試作として「Zwei!!」(2001年登場)を作ったのではないか。 「Zwei!!」は基本的に2Dアクションのゲームだが、ボス敵に限っては3DCGで描いていた。 開発者の練習を兼ねた商品ではないかと思う)

(これも余談だが、ファルコムのゲームの定番となった 「シナリオ中で、主人公が図らずも漫才やお笑いをやってしまう」 シーンがイースにも見え始めている。イース6の戦闘では、 古代文明の兵器をアドルが剣で斬る(レーザー砲台、リング状のブーメランを飛ばす砲台、 火炎放射器、電動ノコギリつき浮遊バイク、移動式旋盤)。 イース フェルガナでは、ガルバラン戦でテニスのラリーのようなことをやっている。 冷静に考えればルパン三世並におかしい)

4の後には「イース5 オリジン」→「イース5 リメイク」とつなぐ。 アドルが主役のシナリオと交互に登場することで、目新しさや今後の作品の多様化・長寿命化 (アドル頼みのシナリオではないイース。ファルコムは多様な商品を持ちたいはず)も狙えるだろう。

5では、練金魔法のシステムが複雑なので、イース6の魔法やイースフェルガナの腕輪並に 簡略化するのがよさそうだ。データ集を読む限り、練金魔法は種類がありすぎる。 ターン制の戦闘をするRPGなら、操作を止められるため、魔法が豊富でも使い切れる。 しかし、イースでは敵の動きを予測して、回避、攻撃、魔法を即座に切り替えることが必要だし、 そこにイースらしい面白さがあるので、スーパーファミコン版のシステムのままでは 遊び手が使い切れないと思う。

そして、「イース7オリジン」→イース7(イース6以降の時期に アドルとテラとドギを使い分けながらの迷宮探索、アルタゴの五大竜の話、 剣を使えない状況でも無手で戦うアドル(可能性は低いが)) ・・・と続くのではないだろうか。

(筆者注、ファルコムの公式発表では、次回作はイース7になります(2008/10現在))