アンダースロー論 千葉ロッテのアンダースロー投手、渡辺俊介の著書。 ピッチャーがマウンドで何を考えているか、 何に悩んでいるか、が詳細に綴られている。 2005年の好調と2006年の不調の原因(pp.64-66、pp.147-151)、 2005年のプレーオフまで隠していた決め球(pp.68)、 手の爪を切るタイミング(pp.102)などの話を読んで、 ピッチャーがとても繊細なことに驚いた。 こういった話は、球場で野球を何年見ても分からない。 ピッチャー本人や、ブルペンキャッチャーなどが語る他に知る術はない。
千葉マリンスタジアムの前に、選手の手形を集めたモニュメントがある。 渡辺俊介の手形は、他の投手と比べて指の関節一つ分小さい (ピッチャーの手形は、渡辺、藤田、薮田、小林雅英、小野、久保、 小林宏之、清水、セラフィニ、加藤康介、高木晃次、小宮山とあるのでご確認頂きたい)。 私の手と大体同じ大きさだった。 選手名鑑で確かめると、渡辺俊介の体格はロッテの他の ピッチャーとさほど変わらない。手だけが小さいようだ。 身体能力がさほど高くないのにプロスポーツで通用しているのは、 アンダースローがあるからだと渡辺は主張する。 そして、生きた手本が少ない中での試行錯誤を本書にまとめ、 アンダースローの教科書にしようとしている。 この本を読むと、野球観戦で熱くなってしまう人が続出するだろう。 続編として、小野晋吾(千葉ロッテのピッチャー。 打たせて取る投球が得意。三振よりも内野ゴロを量産する。 スライダー・フォークボール全盛の時代に シュートを得意球にする、珍しいピッチャー) のオーバースロー論も執筆頂きたいものだ。 |