お薦めの本

最終更新日: 2008/10/28
作成者:しんどうまさゆき

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「超」納税法
(野口悠紀雄著、新潮社刊)

野口悠紀雄氏による、日本の税制を分析し、新しい税制を求める著書。 日本の税制のうち、所得税・法人税と相続税について、 問題点と改善策を提案している。また、政府の税制改革を待つのではなく、 数百万人規模の庶民による税制改革要求を起こそうと提案している。

作中では、税への常識を覆す事実がいくつか載っている。 例えば、相続税は非常な金持ちに対してかかる税で、 庶民にはまったくといっていいほど関係ない。

他には、中小企業の経営者は、納税上有利になるようにするため、 自身を事業所得者にはせず、給与所得者にしている。 (自営業者は、帳簿作成と確定申告による所得税のみの納税をしている。 これに対して、経営者は、法人税を納めた上に所得税を納めていることになる。 しかし、法人税の控除制度と所得税の控除制度とを併用して節税している。 控除制度による節税の効果は相当大きいが、現行法上、まったく合法的に行える)。

終盤の章で、サラリーマンの行動が日本の税制を変えると 野口氏は主張する。そして、サラリーマンは雇用形態を変えることで 収入を現在の3割増しにできて、かつ会社もサラリーマンの この収入増を歓迎すると提案している。 これは、現在の仕事の中身を変えなくても可能なことだ。 「税制の変革を妨げるものは、一人一人のサラリーマンが持つ固定観念だ」 という主張は的を射たものだと思った。

「超」納税法は本作以降も続刊される見込みだ。 次巻は土地問題や固定資産税について論じることになるだろう。