お薦めの本

最終更新日: 2008/10/27
作成者:しんどうまさゆき

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攻殻機動隊 バイリンガル版
(士郎正宗作、講談社インターナショナル刊)

サイバーパンクの漫画として有名な「攻殻機動隊」の 日英バイリンガル版。台詞をはじめ、欄外の注釈、作者のツッコミ に至るまで英語が載っている。SFの漫画は英語の勉強に使えない、 と言う人がいるかもしれないが、案外そうではない。

例えば、草薙素子(主人公)と「人形使い」 (コンピュータ・ネットワーク上で生まれた、肉体を持たない知的生命体) との会話は、哲学的だが、思わず口に出してみたくなるものだ。

(pp.339)And what if cells continued to multiply? If humans, instead of dying, continued to accumulate knowledge and experience?
(もし細胞が増え続けたら?人が死なずに知識や経験を積み重ねたら?)

In either case, they would probably become paralyzed and end in catastrophe...
(いずれの場合も身動きできなくなって破局するだろう・・・)

(中略)...Why? Because my system doesn't have any slack or "play" in it; it doesn't have any protection against catastrophe...
(なぜなら私のシステムには老化や進化のためのゆらぎや自由度(あそび) がなく破局に対して抵抗力を持たないからだ・・・)

Whenever anything happened, the new, post-fusion you would let loose my altered-species glider on the net... just like humans leave behind genes... And this way I'd also be able to die!
(融合後の新しい君は事あるごとに私の変種(グライダー) をネットに流すだろう・・・人間が遺伝子を残すようにね・・・ そして私も死を得るわけだ・・・)

(余談だが、上記の台詞は、映画「マトリックス」 「マトリックス・リローデッド」のシーンと似ている。 例えば「マトリックス」で、モーフィアスがネオに マトリックスの由来を教えるシーン。「マトリックス・リローデッド」で、 ソース(マトリックスの開発者)がマトリックスの宿命的欠陥を ネオに語るシーン。ネオのようなマトリックスに対抗する人物が、 実はマトリックスによって繰り返し作られた、と語るシーンがそうだ。 映画監督のウォシャウスキー兄弟は「攻殻機動隊」に強く影響を受けて 映画のストーリーを作っている。「マトリックス」を深く解釈するには 「攻殻機動隊」を読むとよい)

講談社インターナショナルでは、講談社の漫画をいくつか バイリンガル版にしている。漫画で英語の勉強をしてもよいだろう。 (これも余談だが、ラインナップにはマニアックなものもある。 「カードキャプターさくら」があるのは意外だった。 CLAMP(作者)の漫画にはしばしば同性愛(男同士。ただし性的に 露骨ではない。対象年齢が小学生向けの「なかよし」に連載されていた ことも意外だ)が出てくるので、学校ではなかなか習えない 英語が習えるだろう。告白の練習は英語の授業でやりませんね。 いや、男同士でやる必要はないですよ(笑)。 この調子で「無限の住人」「頭文字D」 「海皇紀」もバイリンガル版にしてくれないだろうか?)