お薦めの本

最終更新日: 2008/10/28
作成者:しんどうまさゆき

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痛快!性愛学
(福田和彦著、集英社インターナショナル刊)

この本は性教育の真打だと感じた。

「セックスとは汚れたものだ」「セックスの目的は生殖だ」 という考えは間違いだと著者は主張する。 その根拠として、好色を善とする文化・悪とする文化の歴史を 振り返ったり、動物の交尾と人間のセックスとの違いを 科学的なデータで説明したりしている。

人間は深い愛情と快感を得るために セックスをするのであり、愛と性を切り離してはいけない、と著者は主張する。 また、現代の性教育は「身体」と「技術」しか扱っておらず、 「心」を無視しているので、性の乱れや家庭崩壊 (援助交際、夫から妻への暴力、 児童虐待、愛のない下半身だけのセックス) が生まれてしまうとも主張している。 著者は、身体機能にしぼった「性科学」ではなく、 心を含めた「性愛学」を解説している。

本書の終盤に、究極の性愛とでも言える「タントラ・セックス」 を紹介している。これはセックスの一方法だ (ヨガから生まれた。そのため、性器の挿入の前段階で、 心身を整える呼吸法や気功を行う。この「準備体操」的なものは セックスの一部だと著者は言っている)。 タントラ・セックスを行うと、通常のセックスでは決して 得られない快感が得られるという(オーガズムが1分以上続くという。 通常のセックスで得るオーガズムはせいぜい数秒だ。 また、タントラ・セックスを行うと、心身共に深い満足が得られ、 空しい感じを覚えなくなる。また、月1回のセックスで十分だと感じるそうだ)。

このほか、中絶への警告、副作用のない避妊法である男性用ピル、 試験婚のすすめ、といったことを紹介している。 性愛を総合的に論じている姿勢には頭が下がる思いがした。

この本はすべての人が読むべきだと思った。 特に以下の方にはお読みいただきたい。 カルチャーショックを受けるだろう。

  • 思春期の人(中高での性教育の教科書にしてもいい)
  • 幼児の「赤ちゃんはどこから生まれてくるの」 といった質問へどう答えるべきか困っている人
  • セックスは生殖のためのもので、男女の愛とは セックスと切り離された精神的なものだと思っている人