内気な人の営業にはコツがある!
(本多信一著、PHP刊)
1990年代後半から「営業・販売職についたのだが、
内気な性格のせいで仕事がきつすぎる」
という相談が、無料職業相談を行っている著者に急増してきたという。
営業・販売職は、外向的・社交的な人間にふさわしいと思われがちだ。
逆に「内気な人はセールスには向かない」と考えられている。
しかし、トップセールスには、内気な内向的人間が多いという。
内気な人に特有の様々の長所を生かして、
(1)考えるセールス
(2)役立ちセールス
(3)コンサルティングセールス
を身につければ、必ず成功できると著者は主張する。
現在(1999年初版当時)、会社に入り、営業・販売の仕事に配属される者は、
新卒者の2/3になるという。営業のノウハウは、社会人にとって
必須となりつつあるようだ。営業に苦手意識を感じている方に、
この本はよい指針を出してくれるだろう。
ノウハウの一例を紹介したい。
文系出身の身でありながらエレクトロニクス部品のセールスでトップの
実績をあげつつあるK氏(30代)は、初めのうちは電器部品のことは
チンプンカンプンで、何度も辞めようと考えたそうだ。けれども、
30代に入ってから一念発起して電気の専門学校の夜学に通い、
勉強を始めた。むろん、夜の付き合いもある仕事ゆえ、あまり通えなかった
そうだが、「分からないことがあると先生に聞くことができるようになったので、
とても役立っています」と言っておられた。そうか、その手もあるな、と私は感心した。
(中略)大体、百問百答ぐらいのマニュアルを作れば、
ある程度はうまくいく。しかし「その分野の基礎知識」が乏しいと、
ちょっと想定外の質問をされるとお手あげになってしまう。
だからまず中学、高校の教科書を再読し、理工学部で用いるその分野の
本ぐらいは読む必要がある。
(中略)そしてもう一度言うが、私たち内向型人間は研究熱心だし
調査好き。この特性を活かして今の自社製(商)品、業界商品に
ついて徹底的に商品知識を培っていくなら、必ずやトップセールスの
仲間入りができるはずだ。(pp.55-58)
「百問百答のマニュアル」はよい台詞だと思う。
私の今の仕事でも、新人が訊く質問は
100問くらいあるのではないかと思うからだ。
現在新人に読ませている研修マニュアルでは、
30くらいしか答えを出せていないように思う。
就職したての新人が苦労するのは、努力不足のせいではなく、
マニュアルの不備、基礎知識の確認と紹介の不足が大きいと私は思っている。 |