不定期記事「探索者」

作成日:2010/04/16
最終更新日: 2010/07/04
作成者:しんどうまさゆき

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連載の体裁を辛うじて保っている更新頻度だが、JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説の第5回を以下に述べたい。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系リニューアル車)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<209-2000の運用変更>
【JR東】幕張車両センター所属209系 単独運用開始

上記記事にもあるが、2010/03/13のダイヤ改正以降、209系2000番台の運用が大きく変わっている。筆者が最寄りの内房線を利用する際、6連単独、4連単独、4+4連では209-2000に頻繁に出逢う。反対に、6+4連では再び113系を見る機会が多くなった。湘南色と横須賀色の113系6+4連も、内房線では再び頻繁に見るようになった。

千葉総合車両センター

車両置き換え予測の基礎資料となる、113系、211系、209系2000番台の各運用については上記記事に詳しい(ただし、2009/03ダイヤ改正時情報が最新)。掲示板の「見たまま報告」でも、209-2000は、4両、6両単独での運用が継続的に確認されている。

209系置き換えの記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

113系の復活はあくまでも一時的なもので、車両の置き換えは間断なく進んでいる。209系0番台の2000番台化改造については上記記事に詳しく、日々更新が続いている。2010/04には数編成がまとめて転属してきた。残暑が終わる頃には113系と209-2000の割合が半ばしそうだ。

<運用変更の理由>
当初の予定通り、209-2000は東金線に入線を始めた(鹿島線にはまだ入線していないようだ。ただし、置き換えは今後も続くため、2010/04/16現在の情報であることをご了承ください)。前回の私の予想は早くもはずれてしまったので、後始末として運用変更の理由を推測したい。

おそらくは車両を初めとした保守の都合が主要因だと私は考える。以下のような段取りをして、209-2000の割合が次第に増えていくのだろう。

(2009年度)209-2000が転入したら、まず6+4連、4+4連で営業運転を行い、不具合が出ないか様子を見る

→(2010年度)209-2000の6+4連、4+4連がある程度の距離を走行したら、4連、6連単独での運用に転用する
→(2010年度)6+4連、4+4連の運用が空くので、再度113系を投入し、209-2000が転属するまでのつなぎとする
→(2010年度)209-2000が転入したら、6+4連、4+4連で営業運転する。209-2000の不具合を様子見しつつ、路線内に新車が集中して走行する場合、地上設備等にトラブルがないかも様子見する

→(2011年度)209-2000の6+4連、4+4連がある程度の距離を走行したら、4連、6連単独での運用に転用する。2010年度当初から4連、6連単独運用を担当した編成は、113系での分割と併合が頻繁な運用や、211系5+5連、5連単独運用の置き換えにも投入する
→(2011年度)6+4連、4+4連の運用が空くので、再度113系を投入し、209-2000が転属するまでのつなぎとする
→(2011年度)209-2000が転入したら、6+4連、4+4連で営業運転する

以上を運用番号に置き換えてみる(運用番号は「千葉総合車両センター」内記事を使用した。本稿執筆時点で最新の、2009/03/13ダイヤ改正時の運用が2010年度も踏襲されたと仮定している。そのため、実際の運用とは異なる可能性がある。なお、209-2000が投入される運用は、JR蘇我駅1、2番線と5、6番線、および都賀駅改札前(駅構外のため要下車)の時刻表に掲示されている。筆者が確認したところ、概ね2009/03/13ダイヤ改正時と運用は同じように見える)。

(2010年度)A5後半−A12前半(内房線、外房線、東金線での6連単独での運用)、A613後半−A615(東金線での4連単独での運用)に209-2000を新規投入
→(2010年度)A12後半−A1−A5前半、A608後半−A613前半(内房線が主となる、6+4連の運用)、A581後半−A588前半、A596後半−A603前半(内房線が主で、外房線、総武本線、成田線が若干含まれる、4+4連の運用)が空くので、つなぎとして113系を再度投入。209-2000が来しだい、置き換える

→(2011年度)A588後半−A596前半、A603後半−A608前半、A616後半−A620−A581前半(4+4連の分割と併合が頻繁な運用。なお、鹿島線の4連単独の運用はほぼ全てここに含まれる。全部で21運用あるため、4連単独の運用実績がある編成が増えてくる2011年度に一気に置き換えたいのではないか)、A301−A314(総武本線、成田線が主の211系5連単独の運用、および内房線での5+5連の運用)に209-2000を新規投入
→(2011年度)A12後半−A1−A5前半、A608後半−A613前半(内房線が主となる、6+4連の運用)、A581後半−A588前半、A596後半−A603前半(内房線が主で、外房線、総武本線、成田線が若干含まれる、4+4連の運用)が空くので、つなぎとして113系を再度投入。209-2000が来しだい、置き換える

前述の「保守の都合」について詳説したい。まず、6+4連、4+4連で運転した場合、片方の編成が故障してももう一方は無事で済み、自力走行できる可能性が残る。次に、車両設計が新旧で異なる場合、地上設備の設計も合わせて変えなければならないので、地上設備が不具合なく動作するか、様子見が必要だ(例、209-2000では回生ブレーキを使用する。動力となるモーターに発電をさせ、発生した電力を隣の209-2000が消費することでブレーキが機能するしくみ。ただし、閑散線区では隣の列車との距離が遠すぎて、電力を供給できないので、線路そばに一定間隔で変電所を設置して電力を消費する。万が一変電所が機能しない場合、回生失効となり、減速能力が低下する)(参考文献、「電車の運転」、宇田賢吉著、中公新書)。

余談だが、列車が営業中に故障して立ち往生した際、後続の列車が故障車と連結して、推進運転(大雑把に言えば、押して進むこと。詳細は wikipedia を参照のこと)ができるよう、列車の動力には余裕を持たせる設計になっている。ただし、所定の場所以外での連結を行う場合、衝突事故防止のための地上設備がなく、人の注意のみが頼りになるため、速度制限等の安全管理が普段以上に慎重に行われる。さらに、推進運転自体にも厳しい速度制限がある。現場で故障車を保守したり、機関車や予備車等の救援を呼んで牽引するほうが、ダイヤの乱れが小さいこともある。そのため、日本国内で列車の推進運転を行うことは珍しい(尾久車両センターから上野駅の行き止まりホームまで、寝台列車の送り込み回送に行われる程度)。故障車の移動は一見単純に思えるが、自動車のレッカー移動ほど簡単ではない。

<209-2000の出場予定>
209-2000の出場予定、および各車両センターでの改造工程を再び予想してみた。情報をセンター毎の縦割りで記載したため、予想の全体像を把握するためには6ページ全てをご覧頂きたい。なお、いずれも暫定的な予想であることをお断りしておく。

表・209-2000出場予想

図・209-2000改造工程予想・東京総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・大宮総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・長野総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・郡山総合車両センター

図・209-2000改造工程予想・秋田総合車両センター

209-2000が2012/01までの転属完了を目指すのは、並行しているE217系、701系等の機器更新や、間近に迫った209-500、E231系、E127系等の機器更新のため、工場を早く空けたいためだと予想する。113系を淘汰した後、JR東日本が次に置き換える旧車は115系(豊田、長野総合、新潟、高崎の車両センターに在籍)、および107系(小山、高崎の車両センターに在籍)になる。107系は少数だが、115系の場合、房総113系よりも大量の車両が老朽化しつつあるため、新車配置および車両転属を総動員しなければならない(JR東日本向けの新車製造を行う新津車両製作所、および東急車輌製造、川崎重工は、JR東日本の他線区の車両も手がけているため、115系を短期間に全て新車で置き換える生産能力はない)。そのため、115系の置き換え候補となる211系の転属にあたっては、機器更新をする余裕はないのではないか。総合車両センターの整備担当者は大変な思いをしていることだろう。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。
房総ローカル各線は、変化のただ中にある。

【JR東】京葉線209系 110km/h車運用充当に伴う運用変更

上記のとおり、京葉線の209-500が内房線、外房線に乗り入れるようになった。

【JR東】E233系5000番代ケヨ501編成 配給輸送

【JR東】E233系5000番代ケヨ502編成 配給輸送

【JR東】E233系5000番代ケヨ503編成 配給輸送

【JR東】E233系5000番代ケヨ504編成 配給輸送

【JR東】E233系5000番代ケヨ505編成 配給輸送

【JR東】E233系5000番代ケヨ506編成 配給輸送

しかし、京葉車両センターにはE233-5000の配備が既に始まっている。以下の通り、2010/07/01から運用を開始した。内房線、外房線への乗り入れも確認されている。

【JR東】E233系5000番代 営業運転開始

2011/10ころを目処に、209-500、205系、201系は京葉線から姿を消す見込みだ。201系は廃車、209-500は武蔵野線での運用に変わるのではないかと思うが、205系については、廃車か転属かはっきりとしない。関東地方で205系の大規模な転属が再度発生(1回目の大転配は2002−2006年)するのではないかと私は思うが、その予想は別の機会に述べたい。