不定期記事「探索者」

作成日:2009/09/01
最終更新日: 2009/09/15
作成者:しんどうまさゆき

ホーム > 不定期記事「探索者」 >

本稿で第3弾となるが、JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説をまとめたい。

(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません)

(注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系リニューアル車)。用語の詳細については wikipedia に詳しく説明されていますのでご参照ください)

<JR東日本より公式発表>
普通列車の車両変更について(JR東日本プレスリリース)

上記記事のとおり、房総用113系、211系を置き換えるために、209系2000番台が2009/10/01から営業を開始する予定だ。

209系置き換えの記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

209系0番台の2000番台化改造については上記記事に詳しく、日々更新が続いている。

千葉総合車両センター

車両置き換え予測の基礎資料となる、113系・211系運用については上記記事に詳しい。なお、209系2000番台の運用予想が最近追加された。当ウェブサイトでの予測とは異なる部分もある。

<置き換え予測>
「探索者 2008/11/06」「同 2009/07/25」に述べたのと同様の考えで、113系を209系に置き換える予定を三度予測してみた。「2010年からは東金線・鹿島線でも運行予定です」(プレスリリース)とのことなので、最短でも2009年12月末までは東金線・鹿島線以外の運用に投入されることになる。この条件を満たす運用は、

4+4連
・A581後半−A584−A588前半
・A596後半−A599−A603前半
(二者は4+4連の前側と後側であり、同一の運用)

内房線は安房鴨川までの運転が多い。
外房線は安房鴨川までの運転が多い。
総武本線は銚子までの運転が多い。A581後半−A584前半にのみ存在。
成田線は銚子までの運転が少数あり。A581後半−A584前半にのみ存在。

6+4連
・A12後半−A3−A4−A5前半
・A608後半−A611−A612−A613前半
(二者は6+4連の前側と後側であり、同一の運用)

内房線は君津までの運転が多い。館山、千倉へは少数あり。
外房線は上総一ノ宮までの運転。
総武本線、成田線での運転はない。

以上に絞られる。なお、211系の運用はとりあえずは置き換えされないと仮定した。211系は改造の上、他地区への転属が予定されている。ただし、改造工事を受け持つ各地総合車両センターは209系0番台の2000番台化改造を行っており、211系を受け入れられない可能性がある。そのため、工場の空きを待って置き換えされると考える。

(注1、運用番号(A584、A12等の番号)は「千葉総合車両センター」中記事にあるものを利用しています)

(注2、時刻表(特定の駅の発車時刻表ではなく、書籍の時刻表)をお求めになり「千葉総合車両センター」の運用番号一覧に乗っている列車番号(1121M、154Mなどの番号)を探し、マーカー等で置き換え候補の番号に色つけをすると、置き換えされる列車が何時何分に最寄駅を出発するのか、詳細で見やすい情報となります。当文書を読むだけでは普通イメージが湧きませんので、この作業をお薦め致します)

(注3、房総ローカル各線の全運用を一度に置き換えることは不可能なので(幕張車両センターに今までの2倍の車両を留置することはできない)、全運用を車両の置き換えが漸次行える小さな運用グループに分割することが必要(「幕張車両センターを出庫」→「日中の運用をこなして、各路線の終点を主とした駅での停泊(数回繰り返し)」→「幕張に入庫」までを1グループとしている。なお、車両の連結は小グループ内でのみ行われることも必要。113系と209系とを連結しての運用は車両の規格上不可能なので、2グループ以上にまたがって連結する運用が存在すると、車両の置き換えが著しく困難になる)

<今後の置き換えの順番>
東金線、鹿島線への投入が2010/04以降だと仮定すれば、それまでの間は上記で述べた4+4連および6+4連の運用に限定した置き換えとなる。6+4連の運用は全て内房線、外房線を走るものだ。4+4連の運用も内房線、外房線が多い。総武本線、成田線で209-2000が頻繁に走るまでには、今しばらく待つ必要がありそうだ。しかし、東金線、鹿島線への投入が始まると、総武本線、成田線での運転も増える(東金線と鹿島線の運用は、4+4連のA613後半−A620−A581前半の小グループに多くが集中しており、このグループの中には総武本線と成田線の運用も多数ある)。2010/04以降は、全路線で209-2000が走行し、全体的に使用率が高まることになりそうだ。筆者のかつての予想とは違ったものになるだろう。

<東金線、鹿島線を後回しにした理由>
東金線、鹿島線への投入を後回しにしたのはなぜだろうか。断言はできないが、可能性の1つとして、建築限界、および車両限界の問題をあげたい。通勤型電車がホームとの接触を起こさないかどうかを営業運用の中で調査し、改造中の車両にも反映するためではないかと考える(209-2000は通勤型電車の車体形状をしている。切妻の先頭車で裾絞りのない車体が特徴だ。今まで走っていた113系は曲面妻の先頭車で裾絞りのある車体だ)。東金線は外房線から乗り入れ、鹿島線は成田線から乗り入れる形態をとっているため、まずは外房線、成田線の調査が必要だ。また、東金線、鹿島線と比べ、駅数が多く、ホーム側の改良がより困難な4線を先に試験したいのだろう。

鉄道車両−構造−妻構(Wikipedia)

建築限界(Wikipedia)

車両限界(Wikipedia)

通勤型電車の走行実績(2009/08現在)は以下の通りだ。

内房線 千葉−上総湊は走行済(205系)。上総湊−安房鴨川は未走行
外房線 蘇我−勝浦は走行済(201系、205系)。勝浦−安房鴨川は未走行
総武本線 全線未走行
成田線 全線未走行
東金線 全線走行済(201系)
鹿島線 全線未走行

総武本線、成田線では初めて通勤型車両が通るため、慎重を期して1、2運用程度の投入に絞ったのだろう。内房線、外房線では単線区間での走行実績(交換駅での分岐機通過)があるため、大胆に投入できるものと考えられる。東金線ではおそらく問題が発生しない。鹿島線の場合、問題があってもプラットホームの改築で対応できると思われる。他線と比較して、プラットホームの改築は容易かつ小規模で済むからだ。理由を3つ挙げる。
余談だが、209-2000の後には一般型電車が投入されるだろう(209-2000は機器更新の上、房総に転属してくるので、全般検査を1回挟み、16年使うのではないか)。一般型電車に近いE257-500が全線に入線しているため、車両限界および建築限界の問題は発生しないと考えられる(JR東日本で現在使用中の一般型電車として、E231-1000、E233-3000などがある。切妻の先頭車で裾絞りのある車体だ)。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。
房総ローカル各線の車両置き換えが目前に迫った。京葉線にも新車両の導入が決まったので、房総の車両は2012年ころをめどに一新されることになる。

京葉線に最新型電車を導入(JR東日本プレスリリース)

車両置き換えの後は、駅舎等の設備改修に着手することになるだろう。昨今はバリアフリー対応が重要視されているので、内房線の複線区間では駅舎の改札外部分へのエレベーター・エスカレーター設置が進んでいる。一方、単線区間では今なお嵩上げされていないプラットホームが存在する(1980年代前半は、市原市内の姉ヶ崎、五井、八幡宿の各駅も嵩上げされていなかった。子供の時分だったので、帰省の荷物を持っての乗り降りに少々手こずったのを覚えている)。利用者数が少ない区間では、設備ではなく駅員による人力の対応となるのだろう(無人駅が増えているのと、階段しかない駅もあるので、現場担当者は大変そうだ)。高齢者他への利便性を整えるのは、地味な変化だが文化的でもある。利用者が鉄道の変化をすぐに感じられる部分でもある。今後の継続的な変化を期待したい。