不定期記事「探索者」

作成日:2009/07/25
最終更新日: 2009/07/26
作成者:しんどうまさゆき

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以前筆者が記した「探索者 2008/11/06」で、JR房総ローカル各線(内房線、外房線、総武本線、成田線、鹿島線、東金線)について、筆者による車両置き換えの仮説を掲載した。前稿から半年が経ち、置き換えの動きが具体化してきた。それに伴い、置き換え予想も少々変わるので、本稿にまとめたい。
(注1、当記事は筆者による予測であり、JR東日本の公式発表ではありません。また、鉄道の運用は刻々と変化するものであり、当文書及びリンク先の情報が、最新の状況を常に反映している保証はありません。当文書およびリンク先での情報を利用したことにより、何らかの損害を被ったとしても、筆者は一切の責任を負いません。
注2、以下では鉄道車両の形式等の専門用語が出てきます(例、113系リニューアル車)。用語の詳細についてはWikipediaに詳しく説明されていますのでご参照ください。

wikipedia

<2008/12-2009/07の動向>
209系2100番台登場!(「4号車の5号車寄り」中記事)

上記記事に詳しいが、房総用113系を置き換えるために、京浜東北線で使われた209系0番台がJR東日本の各地総合車両センターで改造を受け、209系2000・2100番台となって出場し、幕張車両センターに配給されつつある(なお、上記では車両の内外装についての情報も詳しい)。

2009年国電総研スペシャル(「国電総研」中記事)

上記記事では、209系2000・2100番台の出場予定が詳細に予想されている。2009/06-2010/01にかけて、4連が11本、6連が6本出場するとのことだ。

113系幕張車両センター編成表(最新版)(「4号車の5号車寄り」中記事)

房総用113系の在籍状況については上記記事をご覧いただきたい。なお、本稿執筆時点(2009/07/12)では、113系と211系による房総ローカル各線の運用はまだ209系に置き換わっておらず、113系や211系に廃車・転属は発生していない。

209系置き換えの記録(「4号車の5号車寄り」中記事)

209系の転属の経過については上記記事に詳しく、日々更新が続いている。

千葉総合車両センター

車両置き換え予測の基礎資料となる、113系・211系運用については上記記事に詳しい。

<置き換え予測>
「探索者 2008/11/06」に述べたのと同様の考えで、113系を209系に置き換える予定を再度予測してみた(2009/03にダイヤ改正があり、運用のサイクルが変わったため、筆者予想は前回と異なる)。房総ローカル各線の全運用を一度に置き換えることは不可能なので(幕張車両センターに今までの2倍の車両を留置することはできない)、全運用を車両の置き換えが漸次行える小さな運用グループに分割した(「幕張車両センターを出庫」→「日中の運用をこなして、各路線の終点を主とした駅での停泊(数回繰り返し)」→「幕張に入庫」までを1グループとしている。なお、車両の連結はそれぞれのグループ内でのみ行われることを確認済。113系と209系とを連結しての運用は車両の規格上不可能なので、2グループ以上にまたがって連結する運用が存在すると、車両の置き換えが著しく困難になる)。そして、それぞれをグループA〜グループEと名付けた。以下に各グループの概要を記す。
(注1、以下の文中に現れる運用番号(A584、A12等の番号)は「千葉総合車両センター」中記事にあるものを利用しています)
(注2、時刻表(特定の駅の発車時刻表ではなく、書籍の時刻表)をお求めになり、「千葉総合車両センター」の運用番号一覧に乗っている列車番号(1121M、154Mなどの番号)を探し、マーカー等でグループ毎に色つけをすると、置き換えされる列車が何時何分に最寄駅を出発するのか、詳細かつすぐ目に見えるようになります。当文書を読むだけでは普通イメージが湧きませんので、この作業をお薦め致します)

−−−グループA−−−
(グループAは、主に内房線、外房線を走る113系 6+4連の運用。113系運用のうち、内房線の30%ほど、外房線の10%ほど、東金線の25%ほどが209系に置き換わる)

<置き換え対象>
113系 4連×6編成→209系 4連×6編成
113系 6連×6編成→209系 6連×6編成

<運用の変化>
A608後半-A613前半の運用を置き換え。
6運用のサイクルを4連 6+1本(予備車1本)で回転させる。

A12後半-A1-A5前半の運用を置き換え。
6運用のサイクルを6連 6+1本(予備車1本)で回転させる。

−−−グループB−−−
(グループBは、主に内房線、外房線を走る113系 6連単独の運用。113系運用のうち、内房線の30%ほど、外房線の30%ほど、東金線の25%ほどが209系に置き換わる)

<置き換え対象>
113系 6連×8編成→209系 6連×8編成

<運用の変化>
A5後半-A12前半の運用を置き換え。
8運用のサイクルを6連 8+1本(予備車1本)で回転させる。

−−−グループC−−−
(グループCは、主に内房線、外房線を走る113系 4連と4+4連の運用。113系運用のうち、内房線の15%ほど、外房線の30%ほど、東金線の5%ほどが209系に置き換わる)

<置き換え対象>
113系 4連×19編成→209系 4連×19編成

<運用の変化>
A584後半-A592前半、A599後半-A608前半の運用を置き換え。
19運用のサイクルを4連 19+1本(予備車1本)で回転させる。

−−−グループD−−−
(グループDは、主に総武本線、成田線、鹿島線を走る、113系 4連と4+4連の運用。113系運用のうち、総武本線の100%、成田線の100%、鹿島線の100%、外房線の15%ほどが209系に置き換わる)

<置き換え対象>
113系 4連×14編成→209系 4連×14編成

<運用の変化>
A592後半-A599前半、A613後半-A620-A581-A584の運用を置き換え。
20運用のサイクルを4連 20+1本(予備車1本)で回転させる。


−−−グループE−−−
(グループEは、主に総武本線、成田線を走る、211系 5連と5+5連の運用。211系運用のうち、総武本線の100%、成田線の100%、東金線の40%ほど、外房線の15%ほど、内房線の15%ほどが209系に置き換わる)

<置き換え対象>
211系3000番台 5連×14編成→209系 6連×12編成、4連×2編成

<運用の変化>
A301-A314運用を置き換え。
14運用のサイクルを6連 12+1本(予備車1本)、4連 2本(予備車は他グループのもので賄う)で回転させる。

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<置き換えの順番>
国電総研の予測の通りに209系が出場すれば、4連と6連を同時に交換することになる。 その場合、置き換えの順番は以下のようになると予想する。

グループBとC(並行して置き換え)→A→DとE(並行して置き換え)

グループB(113系6連→209系6連)には連結がなく、6連単独の運用なので、113系と209系のいずれも使用可能だ。車両故障の際、新旧予備車のいずれも投入できるので、置き換えはグループBから始める可能性が高い。グループBと並行して、グループC(113系4連、4+4連→209系4連、4+4連)を順次置き換える。
グループB、グループCが十分な量置き換わったら、グループA(113系6+4連→209系6+4連)を置き換える。グループB、グループCの運用は両方ともグループAに連続するので、グループA、B、Cが209系のみの運用に統合でき、113系の廃車が行いやすい(113系の予備車を容易に減らせる)。また、グループAの6+4連が故障対応に最も困る部分だ(同一形式でないと連結ができないので、新旧予備車の保持と運用の変更がしにくい。仮に運用サイクル全体を6連のグループと4連のグループの2つに大別した場合、6連と4連との連結が同一形式になるよう調整し続けることはなかなか難しいと分かるだろう)。ここがJRにとって車両置き換え計画の山場となる。
グループAを解決したら、グループD(113系4連、4+4連→209系4連、4+4連)、グループE(211系5連、5+5連→209系6連、6+4連)は次々と置き換えできる。グループEの211系は、今後改造のうえ甲信越地区へ再転属する予定があるので、置き換え時期は改造工事のタイミング次第になる。おそらく、209系の改造待ちが残り少なくなって、各地総合車両センターに余裕ができてからの置き換えになるだろう。なお、グループDとグループEは他の3グループよりも運用の独立性が高いので、グループAのような、新旧予備車を多めに保存する気遣いは不要だ(6+4連の連結がなく、4+4連および5+5連の連結だ。使用路線は総武本線、成田線、鹿島線が主となっており、故障対応しやすい)。グループA、B、Cが209系に置き換わっており、予備車の保持が簡単になるため、置き換え作業は両グループを並行し、素早く終わらせるだろう。

<編集後記>
制作にあたり、列車運用情報等の資料の利用に快諾くださいました方々に感謝を申し上げます。
本稿執筆時点で、E217系の機器更新車が房総ローカル各線に頻繁に入っている(車体帯の色が、更新前の車体は深い青だが、更新車は薄い青になっているのが特徴)。209系2000・2100番台はこの車両に近い仕様になるだろう。おそらく、発車・停車時のIGBT-VVVFの変調音は、E217系機器更新車のような無音に近いレベルとなる。E217系では2009/07に車内自動放送を開始しており、房総ローカル区間でも自動放送が流れる。209系用の自動放送も作るのではないだろうか。
東京駅へ直通する列車がありながら、甲信越地区と同等の車両(房総では113系、甲信越では115系。2つは兄弟車にあたる)が使われ続けていた房総ローカル地区は、大きく様変わりをしていく。鉄道車両と併せて、駅舎の改築も最近数年で急速に進んだ(コンテナ駅から簡易駅への改築、水洗トイレの設置、エレベーターおよびエスカレーターの設置、Suica端末の設置)。一方、内房線の単線区間の乗客数は減り続けている。利用しやすい駅への改善は進んでいるが、どこまで乗客を集められるだろうか。南房の人口が継続的に減っている以上、将来は廃線もありうる。遺構として廃駅を楽しむ時代が来る前に、もう一度乗りつぶしをしたい。