不定期記事「探索者」

作成日:2000/04/13
最終更新日: 2008/10/27
作成者:しんどうまさゆき

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「増田式キーボード学習法」を使った、 両手チョイ(超絶技巧入力)の学習記録を報告します。
最初に補足。「増田式キーボード学習法」とは、 1〜3時間でタッチタイプをマスターする学習法です。詳しくは、 リンク集から「増田式キーボード学習法」をご覧ください。 あるいは、1999/12/26の「探索者」を御覧ください。
学習の効果を批判・検討するために、私のキーボード使用歴を 公開しています。詳しくは2000/03/25の「探索者」をご覧ください。 なお、「増田式」の発明者、増田忠士さんの指導経験を参照すると、 私の飲み込みの速さは「速いほう」に入ります。 増田さんによると、今まで50万人以上をタッチタイプにしてきた実績と指導経験から 判断して、全体の30%は増田式のカリキュラムどおりの時間で学習目標を達成できるそうです。 それを除く全体の60%は、もう少し時間を必要とします。 さらに残りの10%は相当の時間を必要とします。このグループの中には、 練習を放棄される方もいるそうです。
学習効果を述べる前に、 両手チョイについて説明します。両手チョイとは、日本語入力の一方式です。 普通、日本人が日本語入力に使っている方式はローマ字入力です。 改めて言うと、英語のキー配列(正確にはQWERTY配列。 詳しくは1999/12/26の「探索者」をご覧ください) を日本語入力用に使い回したものです。 両手チョイは、ローマ字入力とはキー配列が全く違います。
では、増田式の学習記録に移ります。 私が両手チョイの存在を知ったのは1999年末です。 そして、両手チョイの学習を始めたのは2000年3月の月初です。 まず、タッチタイピングをマスターする勉強から始めました。 使用教材は「チョイ入力公式ガイド」です。 学習期間は7日ですが、1日に2日分をやり、4日で済ませました。 1日分の学習時間は30〜40分です。 この練習の中身は明かすことができません(商品なので)が、 「これで練習になるのか?」と疑うほど、簡単なものでした。 増田さんに言わせると「努力感が少ない」学習でした。 そして、7日分の練習が終わると、確かにキーボードを見ずに、 10本指で、両手チョイでの日本語入力ができました。 以前(1999/12/26の「探索者」参照)述べたのと同じように、 私が持っていた(そして、多くの日本人が持っている) タイピング練習の常識を覆す練習法でした。 ただし、この段階では10本指入力はできるのですが、スピードが 足りません。手書きよりも遅いです。増田さんも、高速入力は この時点ではまだ実現できないと但し書きをしています。
その後、高速入力学習を行いました。 これは、タッチタイピングの学習から約1週間のブランクの後行いました。 (注、ブランクを空ける必要はありません。続けてやってもかまいません) まず、ひらがな高速入力学習を行いました。学習期間は12日で、 1日の学習時間は30〜40分です。 (ただし、1日目は省略しました。手書き入力の速度測定だからです) 学習の目標は時速6,000字の入力です。 (注、日本語を全てひらがなで入力して時速6,000字です) 教材は「らくらくキーボード練習帳 (1)ローマ字入力編」(増田忠士著、日本経済新聞社)を使用しました。 ひらがな高速入力学習では、学習効果を測定するために、 1日の練習が終わった時点で「じゅげむ」という文章を高速入力します。 これは全てひらがな書きの文章で、547文字あります。 (「じゅげむ」の中身は「増田式キーボード学習法」で公開されています) 以下の表・グラフが学習記録です。(グラフに13〜17日目の記録があります。 これは、後で挙げる「かな漢字高速入力」のときに測定したものです)

学習日入力速度
(文字/時間)
2000/03/12(2日目)2,175
2000/03/13(3日目)2,825
2000/03/17(4日目)2,813
2000/03/18(5日目)3,076
2000/03/19(6日目)3,320
2000/03/20(7日目)3,395
2000/03/21(8日目)3,826
2000/03/22(9日目)4,035
2000/03/23(10日目)3,538
2000/03/25(11日目)4,002
2000/03/26(12日目)4,253

グラフ、両手チョイひらがな高速入力

次に、かな漢字高速入力を練習しました。 学習期間は12日で、1日の学習時間は30〜40分です。 (ただし、1日目は省略しました。手書き入力の速度測定だからです) 学習の目標は時速3,000字の入力です。 (注、漢字かな交じりの日本語を時速3,000字です。 これは「ワープロ検定3級」に楽々合格できる速度です。 手書きの速度を優に越えています) 教材は「らくらくキーボード練習帳 (1)ローマ字入力編」(増田忠士著、日本経済新聞社)を使用しました。 かな漢字高速入力学習では、学習効果を測定するために、 1日の練習が終わった時点で「日本国憲法前文」という文章を高速入力します。 これは漢字かな混じりの文章で、492文字あります。 (「日本国憲法前文」の中身は「増田式キーボード学習法」で公開されています) 以下の表・グラフが学習記録です。

学習日入力速度
(文字/時間)
2000/03/27(2日目)2,103
2000/03/28(3日目)2,192
2000/03/29(4日目)2,494
(同日じゅげむも計測、4,356)
2000/03/30(5日目)2,615
2000/03/31(6日目)2,683
(じゅげむ、4,611)
2000/04/01(7日目)2,695
2000/04/05(8日目)3,107
(じゅげむ、4,886)
2000/04/06(9日目)3,162
2000/04/08(10日目)3,243
(じゅげむ、4,590)
2000/04/09(11日目)3,238
2000/04/10(12日目)3,425
(じゅげむ、5,365)

グラフ、両手チョイかな漢字高速入力

かな高速入力は目標の時速6,000字を達成できませんでした。 ですが、「時速5,000字と6,000字は2割の差です。神経質になる必要はありません。 達成できなくても先に進みます」とのガイドに従って、かな漢字高速入力に移りました。 かな漢字の練習をやってみると、最後に時速5,000字超を達成できました。 辛くも手書き入力の速度を上回りました。もっとも、1日30〜40分の練習の 他には一切両手チョイを使っていないので、入力速度の伸びは驚くべきものです。 (なお、グラフのピンクの線は手書きの入力速度です) 練習目標をほぼ達成できたことになります。
かな漢字高速入力は、時速3,000字を達成できました。 こちらは手書き速度の1.3倍程度です。手書き以上というとりあえずの目標は達成しました。 (こちらも、グラフのピンクの線は手書きの入力速度です) 時速3,000字を突破したとき、「両手チョイに移ってもあまりイライラしないだろうな」 と納得できる速さになりました。私はQWERTYローマ字の入力速度を相当速めたので、 入力方式を変えるのは難しいだろうと思っていました。それでも、 約1ヶ月の練習で安心して移行できるレベルになりました。 何かの片手間にやりたくなるほど簡単な練習で、努力感が少ないので、 他の人にもおすすめできます。
学習記録について補足します。 かな漢字高速入力のグラフは階段状になっています。 増田さんによると、これはよくあることだそうです。速度が数日停滞し、 ときには下がった後、ある日急に延びることがよくあるそうです。 これを一例として、「増田式」には、今までやってきた勉強にはない、超常現象的な 学習効果がありました。ただ、それも増田さんに言わせれば 「自然なこと」だそうです。この学習法がKJ法で作られているのが 原因でしょう。「不確かな情報からでも真実を見抜ける」 (続・発想法、川喜多二郎著、中公新書刊)とあるのは本当のようです。 私は「『超』整理法」(野口悠紀雄氏の提案した情報整理法。彼は KJ法に懐疑的である)を愛用しているため、今までKJ法に懐疑的でした。 ですが、「増田式」というKJ法の実例を体験した後では、 それを考え直さないといけなくなりました。